『トリリオンゲーム』目黒蓮の鮮やかな立ち回りに心が震える 今田美桜が突きつけた挑戦状

『トリリオンゲーム』目黒蓮の鮮やかな立ち回り

 そして「やはりハッタリだったか」と思ったのは視聴者だけでなく、桐姫も同じだった。鬼の首を取ったように、カルフォルニアランドに連絡して、真っ赤なウソだという証拠を宇佐美と安住に突きつける桐姫。だが、そんな桐姫の動きさえもハルの読み通り。すべてを見越して、すでにそのハッタリは宇佐美たちに共有されていたのだ。騙される形で新作アニメの話を持ちかけたハルに、それでも宇佐美たちが手を組もうとした理由。それは、もうひとつのくすぶりポイントであった「金を出すけど、口は出さない」スポンサーが欲しい、というクリエイターの本音だ。すでに人気ゲームとして高い認知度を誇る『ドラゴン娘』のアニメ化なら、ビジネスとして成功する見込みは高い。だが、一方でオリジナル作品を作り続けてきたスタジオ・ポポロにとっては窮屈なことも多い。ましてや、ワガママ監督として噂されるほどの宇佐美にとっては、やりにくいったらないだろう。今回の新作アニメの独占配信契約も、クオリティを追求したために膨らんだ負債額がなければ、蹴っていたに違いない。

 そこでハルはトリリオンゲーム社で負債額をすべて払うと約束。そして、好きなように作品を作ってもらい、その対価として過去の作品の配信権をもらうというカードを切った。そして、でっち上げた“世界の堀本”に代わって『ドラゴン娘』の本物のゲームプロデューサー・蛇島(鈴木浩介)を引き抜いてきたように、カルフォルニアランドの代わりに映画製作を実現させる最新AI技術を投入。半年という通常では考えられないスピードで『風の丘の少女』は完成することになった。そんなハルの鮮やかな逆転劇に爽快な気分を味わっていたところに、ガクの「ハルくんにも見せたかったな……」という声に愕然とする。この完成した『風の丘の少女』のアニメをハルは見ていない。つまり、ガクとハルの別れが半年後に迫っているということだ。いつか2人の道が別れてしまうことは覚悟していたが、まさかそんなに早くに来るなんて……。

 「ガク、ハルのことは気にするな」と声をかけるのは、報道プロデューサーからネットテレビ事業部の取締役となった功刀(津田健次郎)だった。「気にすんな」と言われても、気にならないわけがない。なぜなら、ラスボス的存在であるドラゴンバンク社・社長の黒龍(國村隼)からいよいよ直接呼び出しを食らったハルに、桐姫との結婚が提案されたからだ。さらに、ハルに300億、ガクに300億、祁答院(吉川晃司)に100億、計700億円でトリリオンゲーム社を買収する話まで持ちかけられたのだ。

 思い返せば、第1話でハルは桐姫に「お前ごといただく」と宣言していた。この結婚&買収話に乗ることで、桐姫ごとドラゴンバンク社という大企業を手に入れることができる。もしや、この話を受け入れてガクと離れ離れになってしまったのだろうか。いや、ハルがそんな形で黒龍家に収まるはずがない。では、この300億円をもとに1人で新たなビジネスを……? いやいや、そのリスクを追う理由が見つからない。では、一体ハルとガクの間に何が起こるのだろうか。その謎を早く知りたいと思いつつ、最終章に突入するのが楽しみであり寂しい。確実に近づいてくる別れ、それもハルの仕掛けるハッタリであってほしいと願うばかりだ。

■放送情報
金曜ドラマ『トリリオンゲーム』
TBS系にて、毎週金曜22:00〜22:54放送
出演:目黒蓮(Snow Man)、佐野勇斗、今田美桜、福本莉子、竹財輝之助、あかせあかり、國村隼、吉川晃司
原作:稲垣理一郎/作画:池上遼一『トリリオンゲーム』(小学館『ビッグコミックスペリオール』連載)
脚本:羽原大介
演出:村尾嘉昭、竹村謙太郎、田中健太
プロデューサー:松本明子、松下ひろみ、加藤章一
主題歌:Snow Man「Dangerholic」(MENT RECORDING)
製作:TBSスパークル、TBS
©TBS/撮影:高橋裕子
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/trilliongame_tbs/
公式X(旧Twitter):@trillion_tbs
公式Instagram:trillion_tbs
公式TikTok:@trillion_tbs

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