『Moonlight Chicken』タイBLドラマの新たな傑作誕生! イケオジ&小悪魔の“大人の恋”

タイBLドラマの新たな傑作誕生!

 良質なBL作品を世に送り続けるタイ。その中でまたひとつ心に残るドラマが誕生した。CS放送の女性チャンネル♪LaLa TVで9月から放送される『Moonlight Chicken』だ。心臓移植を受けた大学生と、彼に心臓を提供したドナーに想いを寄せていた青年との恋を描いた『A Tale of Thousand Stars』で共演したEarthとMixが再びカップル役を演じることでも大きな注目を集めている。放送を前に、本作の魅力を大いに語り尽くしたい。

 “大人の恋”ってなんだろう。特に年齢を重ねれば重ねるほど、誰かに激しく溺れるだけの気力がなくなって、恋をするのも億劫になる。このドラマの主人公・ジム(Earth)も、もう恋なんて自分の人生に必要ないと思っていた。だから、目の前に自分を恋い慕う青年・ウォン(Mix)が現れても、簡単になし崩しになったりしない。

 2人の出会いは、満月の輝く夜のこと。ジムの経営する食堂「ムーンライトチキン」でウォンは酔い潰れて眠りこけていた。

 閉店後、目を覚ましたウォンは缶ビールを片手にジムと夜の街を散歩する。煌めくランタンが、2人のための星座みたいに夜を彩る。名前も知らない。素性も知らない。だけど、一緒にいるとなぜだか心地いい。月の魔法にかけられたみたいに、2人は一夜を共にする。

 体の関係から始まった、大人の恋。だけど、自ら「ムーンライトチキン」のアルバイトを申し出るなど積極的にアプローチを仕掛けるウォンに対し、ジムのガードは固い。ウォンに気持ちがあるのは確かなはずなのに、その好意をなかなか受け入れようとしない。進みそうで進まないもどかしさが、じれったくてクセになる。

 もしも大人の恋に定義があるとしたら、そのひとつは過去なんじゃないかと思う。ジムも、ウォンも、それぞれ昔の恋があった。過去の恋人の存在がジムの傷になり、新しい恋へ向かうウォンの足枷になる。一度裏切られた人は簡単に誰かを信じることができなくなるし、人を深く愛すれば愛するほど、たとえ気持ちが冷めても清算するのは難しい。衝動だけでは踏み出せない大人の恋の難しさが、ジムとウォンにブレーキをかける。そのブレーキをどうやって外して、2人はまた走り出すのか。過去を乗り越え、今を生きる決意をするジムのリスタートが、打ち寄せる波のように力強く響く。

 アラフォーのジムを演じるEarthは29歳。実年齢より10歳も年上の役柄を、そうとは感じさせないほどくたびれ感たっぷりに演じている。困ったように薄く笑むその顔つきは憂いに満ちていて、ちょっと枯れた雰囲気が逆に色気となってにじみ出る。周りからおじさん呼ばわりされることも厭わず、面倒ごとは懲り懲りといった無精な態度はまさに中年そのものなんだけど、脱ぐとゴージャスなほど筋肉質で、そのギャップに心を鷲掴みにされてしまう。

 汗ばむ肌に、盛り上がった肩甲骨。初回で見せるベッドシーンは、大人の恋の真骨頂。見事なイケオジっぷりで観る者を虜にする反面、前髪を下ろすとちょっとあどけない印象になり、その振り幅がなんとも罪づくり。視聴の際は、Earthのセクシーな魅力に撃ち抜かれてしまわないよう、くれぐれも注意してほしい。

 一方、ウォンを演じるMixは25歳。ジムとは対照的に、恋も仕事も充実期という20代ならではの溌剌さがみなぎっている。そんなジムのキャラクターと、K-POPアーティスト風のさっぱりしたMixの顔立ちがベストマッチ。ジムを試すように見つめる目が気まぐれな猫のようで、クールさとキュートさが奇跡的なバランスで成立している。

 劇中、誘うようにジムに唇を近づける場面が何度か登場するのだけど、その仕草があまりにも小悪魔的で、自己肯定感高めのウォンの挑発に観ているこちらのほうがあっさり乗せられてしまいそうになる。

 「あすみく」の愛称で知られるなど、日本でもファンの多い2人。厚い信頼で結ばれた2人だから演じられる大人の恋にぜひ酔いしれてほしい。

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