『18/40』が気づかせてくれる俯瞰的な視点 深田恭子演じる瞳子が視聴者の声を代弁
先の告白もそうだが『エイフォー』では、たびたび出来事が対照的に描かれてきた。なんといっても、有栖の妊娠と、瞳子の妊娠しにくい体であることの発覚。18歳と40歳では周囲からのリアクションが全く違うものになる。妊娠という出来事そのものは、何歳であっても変わらず奇跡的なことなはずなのに。
また、男手ひとつで有栖を育ててきた市郎と、女の先輩として瞳子に寄り添う貴美子(片平なぎさ)の対比もまた胸を打つものがあった。親として娘の幸せを願うことは同じでも、男親と女親ではそれぞれできることが違う。だからこそ、有栖も康介との切れない縁について悩むのだろう。
そして今回は康介への恋心に翻弄される世奈と、おそらく恋愛感情を理解できない留依の対比も描かれた。人はつい自分の見えているものばかりがすべてだと思ってしまうけれど、自分とは全く違う感覚を持つ人もいるのだという想像力を忘れてしまいそうになる。その無自覚が、ときに大切な存在を傷つけてしまうということも。
おそらく、これだけ「生」について見つめてきた『エイフォー』であれば、きっとその対になる「死」についても考えさせられる描写があるのではないかと胸がざわつく。おそらく、乳がんの再検査を行なうために瞳子の家から実家へと帰った貴美子。「瞳子には内緒に」という気遣いがまた切ない。きっと加瀬とのこれからに集中して考えてほしいとの親心なのだろう。
親の存在は子どもにとって「これまで」のこと、子ども自身の人生は「これから」のこと。そんな対比も見えてくる。今この瞬間を基点に、人生を見つめる。どんな選択をするのか。それが誰を巻き込み、どんな未来へと繋がっていくのか。そして、いずれ過去となったときにどう感じるのか。『エイフォー』は、観るたびにそんな俯瞰的な視点に気づかせてくれる。有栖にも、瞳子にも、後悔のない選択をしてほしいと願うばかりだ。
■放送情報
火曜ドラマ『18/40~ふたりなら夢も恋も~』
TBS系にて、毎週火曜22:00〜22:57放送
出演:福原遥、深田恭子、鈴鹿央士、上杉柊平、出口夏希、長澤樹、八木勇征(FANTASTICS)、嵐莉菜、シルビア・グラブ、髙嶋政宏、美村里江、松本若菜、片平なぎさ、安田顕
脚本:龍居由佳里、木村涼子
プロデューサー:韓哲、荒木沙耶、内川祐紀
演出:福田亮介、松木彩、宮﨑萌加
音楽:吉俣良
主題歌:Ado「向日葵」(ユニバーサル ミュージック)
製作著作:TBS
©TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/1840_tbs/
公式Twitter:@1840_tbs
公式Instagram:1840_tbs