『18/40』が気づかせてくれる俯瞰的な視点 深田恭子演じる瞳子が視聴者の声を代弁

『18/40』元恋人の康介が現れ波乱の展開

「今ごろになって急に有栖の前に現れて、混乱させて。ああ、もう腹立ってきた! 何考えてるんだろうね?」

 火曜ドラマ『18/40〜ふたりなら夢も恋も〜』(TBS系/以下、『エイフォー』)第7話。妊娠した有栖(福原遥)をおいてカナダ留学へと旅立ちながら、今さら戻ってきた恋人・康介(八木勇征)に、瞳子(深田恭子)が視聴者の声を代弁してくれた。

 だが、康介にも康介なりの言い分があるようだ。突然の妊娠発覚に頭が真っ白になってしまったという康介。そして、有栖に向かって高圧的な態度を取った康介の母・由美子(シルビア・グラブ)のもとで育ったことを考えると、端から彼自身の希望など聞く耳を持ってもらえなかったのだろうという予想もつく。

 しかし、現実から逃げておきながら「忘れられなかった」とは、やはり虫の良すぎる話。そして、有栖に直接連絡できる立場じゃないからと、有栖の友人である世奈(出口夏希)に電話をしていたというのも、どこかで世奈が自分に対して好意的な印象があると嗅ぎ取ってのことのように思えてならない。そこは、同じ友人である留依(長澤樹)に電話をしたってよかったはずなのだ。でも、そうはしなかった。そんな小さな選択にも康介の弱さが透けて見えるようだ。

 しかし、そんな康介も有栖の父・市郎(安田顕)に殴られる覚悟を持って、有栖に会いに来たところを見ると、時間はかかったもののようやく腹をくくることができたということだろう。有栖とはあまりにも時差のある親の自覚。だが、海が有栖と康介の2人の子である事実は変えられない。

 康介には知らせず、自分ひとりで海を育てていこうと考えていた有栖。しかし、養育費の請求権は子ども自身の権利とも言われている。康介に海の存在を知られてしまった今、もはや康介とかかわらずに海を育てていくというのは無理な話になってしまった。

 もしかしたら康介が戻ってこなければ、有栖に想いを寄せる祐馬(鈴鹿央士)の気持ちはもっと違う形で伝わっていたのかもしれない。そして、ひょっとしたらゆっくりと育まれた2人の信頼関係がやがて恋愛に変わっていったという可能性も低くはない。しかし、康介の出現によって祐馬は自分の想いを抑えることができず、有栖に告白をしてしまう。

 また、そんな祐馬の真意を知った綾香(嵐莉菜)も、祐馬への想いを打ち明けずにはいられなくなる。そんなドミノ倒しのようにそれぞれが心に秘めていた感情が溢れ出す。その元をたどれば、康介にずっと恋をしていた世奈の心が溢れたことがきっかけだった。

 人生は思わぬきっかけによって大きくうねり、そして想像もしていなかったところにたどり着くことがある。そんな予測も制御もできないことが起こるから人生はしんどくも面白いのかもしれない。

 もし有栖たちが40歳になったころ、今のこの状況をどんなふうに振り返るのか。ふと、そんなことを考えた。なぜなら、そうした大きなうねりを経て、新しい幸せをつかもうとしている瞳子と加瀬(上杉柊平)がいるから。

 「つきあってください」と告げる祐馬に有栖が「ごめんなさい」と断ったのと時を同じくして、瞳子が加瀬に「つきあってください」と気持ちを伝え、2人は晴れて恋人になることができた。そこに加瀬を好きだという透子(北香那)のドミノ効果があった可能性もなくはなさそうだが、これまでじっくりとゆっくりと進めてきた2人の愛情が実ったのは素直に胸がときめいた。

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