福原遥&深田恭子を応援せずにはいられない 『18/40』が示す理想的で豊かな社会の形

『18/40』が示す理想的で豊かな社会の形

 そしてそれは、『ばらかもん』(フジテレビ系)や『ハヤブサ消防団』(テレビ朝日系)が描く地域共同体の繋がりの素晴らしさや、『らんまん』(NHK総合)における長屋の人々と主人公夫婦の繋がりなど、今期ドラマの多くに共通して見受けられる傾向でもある。

 恋愛関係や血縁関係によってのみ人々の関係性が構築されるのではなく、世代や性別、地位、職業の違いを越えたコミュニティの存在が、彼ら彼女らの幸せの基盤となる。そしてその背景には、『こっち向いてよ向井くん』(日本テレビ系)が描いているように、現代において、親、さらにその上の世代が形を為してきた従来の家族像をそのまま模倣することは困難であるとともに、「する・しない」含め、多様な恋愛観や結婚観が肯定されるようになったことが言える。だからこそ人々は、己の人生を形作る無限の選択肢に戸惑い、模索の日々を送っている。だが、家族や恋人の愛のみに固執するのではなく、「皆で助け合い、補い合えるコミュニティ」が土台にあったなら、そのままでも十分に幸せな上に、それによって生まれた心の余裕を以て「握力全開にして」夢にも恋にも挑もうとすることもできるという、最も理想的で、豊かな社会の呈示。『18/40』が描くのは、そんな、現代への期待だ。

 物語も中盤となり、有栖と瞳子の恋愛も順調に進みつつあるが、このあたりで恋のライバルの登場のようである。海の父親である康介(八木勇征)と有栖がこの先どういう関係性を築いていくのか。そして、注目すべきは、息吹(上杉柊平)の前に現れた「もう1人のトウコ」こと榊原透子(北香那)だろう。北香那演じる透子が、猪突猛進真っ直ぐに好きな人に向かっていく若さゆえのエネルギーを全身に漲らせて登場した。息吹と似た挫折経験を持つ同世代でもある彼女は、全てにおいて瞳子と対照的で、なかなかの強敵である。そんな彼女を前に瞳子はどう動くのか。

■放送情報
火曜ドラマ『18/40~ふたりなら夢も恋も~』
TBS系にて、毎週火曜22:00〜22:57放送
出演:福原遥、深田恭子、鈴鹿央士、上杉柊平、出口夏希、長澤樹、八木勇征(FANTASTICS)、嵐莉菜、シルビア・グラブ、髙嶋政宏、美村里江、松本若菜、片平なぎさ、安田顕
脚本:龍居由佳里、木村涼子
プロデューサー:韓哲、荒木沙耶、内川祐紀
演出:福田亮介、松木彩、宮﨑萌加
音楽:吉俣良
主題歌:Ado「向日葵」(ユニバーサル ミュージック)
製作著作:TBS
©TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/1840_tbs/
公式Twitter:@1840_tbs
公式Instagram:1840_tbs

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