六平直政、『らんまん』では“活を入れる”存在に? 場の空気を瞬時に変える演技力に圧倒

六平直政、『らんまん』では活を入れる存在に

 おびただしい数の映画やドラマに出演してきた六平だが、キャリアのスタートは演劇だ。唐十郎が率いる「状況劇場」を経て、「新宿梁山泊」の旗揚げに参加。昨年の夏に新宿・花園神社にて上演されたテント芝居『下谷万年町物語』にて約30年ぶりに「新宿梁山泊」の“紫テント”に帰ってきた瞬間を筆者は目撃したのだが、あれは凄まじかった。物語の舞台は男娼たちが集う下谷万年町で、六平はお市という役で第三幕になってようやく登場。お市はこの万年町のボスともいえる存在であり、しゃなりしゃなりと歩いて登場するなり、口に含んでいた水を客席に向かって吹き出す(!)。前列の観客には水よけのビニールが渡されているのだが、六平の登場に圧倒されていた筆者はまんまと水を被ることに。

 どれくらいの方に理解してもらえるか分からないが、これはちょっとした自慢である。それほどまでに彼は場の空気を瞬時に変え、空間を支配する力を持っているのだ。ちなみに今夏も紫テントに登場し、『少女都市からの呼び声』という作品で主役を張っていたのだが、これまた凄まじかった……。やはり生の芝居だと、俳優の力量を肌身で感じることができるのだ。

『らんまん』金色の道へ巣立っていく長屋の面々 子沢山な万太郎の眼前には“貧乏”の壁が

〈全国の諸君よ 身近にありし植物を槙野に送られたし 其れは光となり水となり槙野を大きく育てることとなるだろう〉  虎鉄少年(寺…

 そんな六平だが、朝ドラへの出演は意外にもこれが二度目。 2018年度後期の『まんぷく』(NHK総合)に続いてのことである。同作での彼の登場は、かなり唐突なものだった。発明家である立花萬平(長谷川博己)が無実の罪で投獄された際、同じ牢の主のような存在を演じる者として六平が登場したのだ。出番は多くはなかったものの、萬平に、いや作品全体に、彼の存在は活を入れるものだった。

 いまの『らんまん』は主演の神木をはじめとし、若者たちが中心だ。俳優・六平直政の登場は、いろんな意味で活を入れるものになるのではないだろうか。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『らんまん』【全130回(全26週)】
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣、広末涼子、松坂慶子ほか
作:長田育恵
語り:宮﨑あおい
音楽:阿部海太郎
主題歌:あいみょん
制作統括:松川博敬
プロデューサー:板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
演出:渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか
写真提供=NHK

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