『わたし達はおとな』『よだかの片想い』『そばかす』は“1人じゃない”と教えてくれる
「(not)HEROINE movies(ノットヒロインムービーズ)」シリーズである『わたし達はおとな』『よだかの片想い』『そばかす』の3作品のBlu-rayが、9月29日に発売される。各作品のBlu-rayには、映画本編に加え、メイキング風景や撮影中のインタビューなどの映像特典も収録されており、それぞれの作品及び監督の個性や、年齢が近い作り手たちによって作られる作品ならではの風通しの良さなどを垣間見ることができて非常に面白い。
特に『そばかす』の特典映像においては、三浦透子と、本作に友情出演している北村匠海との「同志」としての関係性が、北村によって明かされたりもしていて、とても興味深かった。また、3作品をセットにしたコンプリートBlu-ray BOXも予約受付中だ。
「(not)HEROINE movies(ノットヒロインムービーズ)」シリーズとは、メ~テレと、制作会社ダブがタッグを組み、「へたくそだけど私らしく生きる」、等身大の女性のリアルをつむいだ映画シリーズである。
これまでも『勝手にふるえてろ』『寝ても覚めても』『愛がなんだ』『本気のしるし』ほか、数多の傑作を手掛けてきたメ~テレ製作というだけでも、上映当時、多くの映画好きの足を劇場へと向かわせた作品群だが、何より特筆すべきなのは、趣旨に「次世代を担う映画監督と俳優たちを組み合わせ、それぞれの感覚と才能を思う存分発揮できる場を生み出し、輩出するプロジェクト」とあるように、気鋭の若手監督、俳優の魅力的タッグだろう。
第1弾の『わたし達はおとな』は、本作が長編映画監督デビューである加藤拓也が監督・脚本を務め、『菊とギロチン』の木竜麻生と『佐々木、イン、マイマイン』の藤原季節が、突然の妊娠に戸惑う大学生カップルを演じた。第2弾の『よだかの片想い』は、『Dressing Up』に続き本作が長編映画2本目となる監督・安川有果に城定秀夫の脚本。生まれつき顔の左側にアザがあるアイコを演じたのは、島本理生による原作小説に惚れこみ、その映像化にひとかたならぬ情熱を傾けた松井玲奈。恋の相手を『偶然と想像』の中島歩が演じた。第3弾の『そばかす』を手掛けたのは、『僕の好きな女の子』の監督・玉田真也と、『his』の脚本・アサダアツシ。そして本作が単独初主演である『ドライブ・マイ・カー』の三浦透子。「恋愛をしたことがない、そういう感情もない」蘇畑佳純が自分のままで生きていく方法を模索する話だ。
『そばかす』において、佳純の同級生・真帆(前田敦子)は、佳純(三浦透子)に「シンデレラってめちゃくちゃ男目線じゃない?」と投げかける。確かに、「いじめられていた可哀そうな女の子が、舞踏会で王子様に見初められる」というおとぎ話の価値観は、現代にそぐわない。彼女の言う通り、「結局評価されるのって見た目」であってはならないし、「女にとって恋愛が全てで、結婚が人生のゴール」ではなく、仮に結婚したとして、その後の人生は長いからだ。その言葉に共鳴した佳純は、真帆と共に、新しい「シンデレラ」の物語を作ろうとする。