『VIVANT』松坂桃李がダークヒーローの魅力を発散 別班・公安・テントの三つ巴に突入

『VIVANT』松坂桃李がついに登場

 別班としての乃木を体現しているのが、別人格“F(エフ)”の存在である。ミステリーで主人公が犯人という展開は禁じ手とされる。主人公である乃木が謎の対象である別班という設定は、いろいろと不都合が生じるが、別人格を登場させつつ探偵役の視点を野崎に担わせることで破綻を生じさせなかった。乃木については、馬に乗れたり、バルカに詳しすぎるなどの伏線もあって、林遣都と高梨臨演じる両親との過去や、神田明神との関係など、依然解明すべき点は残されている。

 別班がその姿を明かしたことで、公安、テント、別班の三つ巴の構図が浮き彫りになった。乃木はテントのモニターを洗い出すために、数年にわたって丸菱商事に潜伏していた。バルカとの共同事業もモニターを発見するための誘い水で、わざと誤送金を起こさせてバルカに乗り込んだ気配すらある。悔しいのは野崎だろう。野崎は独力でザイール(Erkhembayar Ganbold)にたどり着いた乃木を疑っていたので、刑事の勘が的中していたことになる。もっと言うと、乃木に「お前がヴィヴァンか?」と聞いたザイールは乃木の正体を言い当てていた。

 “別班”乃木は面相が様変わりして、人格が入れ替わるともはや別人だ。乃木が身バレを回避できたのはA面の人格のおかげである。取り柄のない主人公が驚愕のパワーを発揮する変身パターンは多くの作品で踏襲される王道だが、ユーモアを交えながら自在にスイッチを切り替える堺にあらためて役者の本領を見た。

■放送情報
日曜劇場『VIVANT』
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54放送
出演:堺雅人、阿部寛、二階堂ふみ、竜星涼、迫田孝也、飯沼愛、山中崇、河内大和、馬場徹、Barslkhagva Batbold、Tsaschikher Khatanzorig、Nandin-Erdene Khongorzul、渡辺邦斗、古屋呂敏、内野謙太、富栄ドラム、林原めぐみ(声の出演)、二宮和也、櫻井海音、Martin Starr、Erkhembayar Ganbold、真凛、水谷果穂、井上順、林遣都、高梨臨、林泰文、吉原光夫、内村遥、井上肇、市川猿弥、市川笑三郎、平山祐介、珠城りょう、西山潤、檀れい、濱田岳、坂東彌十郎、橋本さとし、小日向文世、キムラ緑子、松坂桃李、役所広司
プロデューサー:飯田和孝、大形美佑葵、橋爪佳織
原作・演出:福澤克雄
演出:宮崎陽平、加藤亜季子
脚本:八津弘幸、李正美、宮本勇人、山本奈奈
音楽:千住明
製作著作:TBS
©︎TBS

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