『18/40』は“背中をさすってくれる”ドラマだ 市郎の「ちょっと回り道をするだけ」が響く

『18/40』“回り道”を鍵に人生を描く

 ドラマ『18/40~ふたりなら夢も恋も~』(TBS系)第4話。夢と出産の間で揺れ動く有栖(福原遥)に、父・市郎(安田顕)が「諦めるんじゃない。ちょっと回り道をするだけだ」と諭すシーンが印象的だった。

 前回、1人で産み育てると言い張る有栖に、感情的に「無理だ」と言い放ってしまった市郎。その日から連絡を取ることもできずにいた父娘だったが、瞳子(深田恭子)の仲介によって対面することに。有栖の希望は、このまま瞳子と共に生活をし、夢も子どもも諦めない人生を歩むことだった。

 その強い決意に市郎も「こんなの普通じゃないよな。だけど、こういうのもあるのかもな」と、ついに2人の共同生活を了承してくれた。ただし、それを認める上でひとつ条件を出す市郎。それは、大学を休学することだった。

 当然、早く夢を叶えたいと考える有栖は、これだけ調べたのだと産後すぐに学業と子育てを両立するプランを見せて反発する。十分に情報を収集して、万全の体制で取り組むから大丈夫なのだ、と。だが、市郎は「無理しちゃダメなんだ」と言い聞かせる。それは前回のように感情的な「無理」ではなく、現実を見据えた冷静な提案だった。

 きっと消防士の市郎は、出産がどれほど命懸けなものなのかを痛感させられる現場を見てきたのだろう。有栖が、しっかりと考えていることもわかっている。それでも、何が起こるのかわからないのが出産なのだ。有栖の夢を応援しているからこそ、無理をして早く叶えることだけが幸せではないのだと伝えたかったのだろう。

 現代を生きる私たちは、どうも“効率中毒”になってしまったような気がする。目的地には最短経路で向かうのはもちろん、食べに行くお店も、買おうとしている商品も、見ようとする作品さえも、自分で体験する前に口コミで確認してしまう癖がついてしまってはいないだろうか。

 なんでも検索できる便利な世の中になった。だからこそ、怖くなる。周りと比較して「遠回りをしてしまったのではないか」と悔しく思ったり、「無駄な時間を過ごしてしまった」と後悔したりすることが……。だが、人生は予想していないことが起こるから面白いとも言える。

 検索したルートから外れてしまったからこそ見ることができる景色があったり、フラッと立ち寄ったお店で運命の出会いが待っていたりする。だから、回り道をすることは決して悪いことではないのだ。なんでもかんでも「早くしなければ」「効率よくしなければ」と、焦る必要もない。大事なのは「どんなに回り道をしても、その場所にたどり着く」ということ。

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