『五等分の花嫁』声優陣の仲の良さは五つ子以上? “五つの奇跡”なキャスティング

『五等分の花嫁』声優の仲の良さは五つ子以上

 ヘッドフォンがトレードマークの三女・三玖を演じるのは、『アイドルマスター ミリオンライブ!』の七尾百合子、『BanG Dream!』の弦巻こころ、『普通の女子校生が【ろこどる】やってみた。』の宇佐美奈々子などで知られる伊藤美来。おとなしく人見知りでちょっとボソボソと小声でしゃべる三玖役は、明るく元気な印象の役が多かった伊藤にとって新機軸となり、『スパイ教室』でも、先生の代わりにチームを率いて冷静に敵を追い詰めるグレーテを見事に演じた。また三玖が姉妹に変装したシーンでは、伊藤自身が姉妹の声まねも担当したという逸話も。同作で得た観察力と新たな表現力で、『久保さんは僕を許さない』では花澤が演じた久保渚咲の姉・明菜を演じ、ちょっとイジりを入れながら妹を優しく見守る愛情深い姉を好演したのも感慨深い。

 いつも元気でスポーツ万能の明るく前向きな四女、四葉を演じているのは、“あやねる”の愛称で知られる佐倉綾音。『BanG Dream!』の美竹蘭や『のんのんびより』の越谷夏海、最近では『スパイ教室』で動物と意思疎通する能力を持つサラ役など、ボーイッシュな役柄が多い印象。しかし同じボーイッシュでも決して一辺倒ではなく、クール系から元気系など多彩なところは佐倉だからこそ。またそのボーイッシュの印象からか、『僕のヒーローアカデミア』の麗日お茶子など正義感の強い役を担当することも多く、『PSYCHO-PASS サイコパス』では正義感が強すぎるあまり花澤演じる常守朱に反発する霜月美佳を見事に演じた。四つ葉は、五つ子が転校することになったのは自分のせいだと責任を感じ、常に姉妹のサポート役に徹する。ただ元気なだけではない複雑なものを抱えた四つ葉は、佐倉の引き出しがあればこそ表現できたキャラクターではないだろうか。

 そして五女の五月を演じるのは、『Re:ゼロから始める異世界生活』レム役などで人気の水瀬いのり。『スパイ教室』のエルナ、『山田くんとLv999の恋をする』の木之下茜、『デッドマウント・デスプレイ』の崎宮ミサキ、『陰の実力者になりたくて!』のベータ、『阿波連さんははかれない』の阿波連れいな、『ヒロインたるもの!〜嫌われヒロインと内緒のお仕事〜』の涼海ひよりなど数多くの作品に出演し、作品ごとに実に様々な表情を見せる。五月は亡くなった母親の面影を追いかけ、五つ子の調和を重視するちょっと生真面目な性格。風太郎のことを拒絶しながらも、家庭教師を頼んだり家に上がり込んでカレーを食べるなど、言動と行動が一致しない点では裏ツンデレの存在。そんな少々厄介な性格を絶妙なさじ加減で演じた水瀬の演技は、今回の『五等分の花嫁∽』でも見所だろう。

 それぞれ人気も実力もトップクラスの5人は、『五等分の花嫁』以前も、それ以降も実に共演の機会が多い。五つ子という単に顔が似ているだけでなく心も通じ合っている関係を演じるには、やはりある程度の日数を共に過ごすことが必要だろうが、この5人は共演数ですでにそれをクリアしており仲の良さはもしかすると五つ子以上だろう。単に人気の声優を集めただけでなく、各キャラクターにどこか通じる部分があり、さらにすでにコミュニケーションが取れているとなると、キャスティングの候補は非常に少なかったはず。そういう意味では、なるべくしてなった、この5人でなければ実現しなかったのが、この『五等分の花嫁』だ。アニメ終了後も収まらない人気がその証拠。アニメ第1期、第2期、劇場版をすでに何度もリピートしているファンは、また違った角度を見つけて『五等分の花嫁∽』の奇跡を堪能してほしい。

■公開情報
『五等分の花嫁∽』
全国公開中
原作:春場ねぎ 『五等分の花嫁』(講談社『週刊少年マガジン』)
監督:宮本幸裕
声の出演:上杉風太郎:松岡禎丞、中野一花:花澤香菜、中野二乃:竹達彩奈、中野三玖:伊藤美来、中野四葉:佐倉綾音、中野五月:水瀬いのり
シリーズ構成:大知慶一郎
キャラクターデザイン:勝又聖人、潮月一也
色彩設計:日比野仁、渡辺康子
美術監督:内藤健
CG監督:島久登
撮影監督:江上怜
編集:松原理恵
音響監督:髙桑一
音楽:中村巴奈重、櫻井美希
音楽制作:日音
音響制作:ダックスプロダクション
アニメーション制作:シャフト
配給:ポニーキャニオン
©︎春場ねぎ・講談社/「五等分の花嫁∽」製作委員会
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/anime/5hanayome/
公式Twitter:@5Hanayome_anime

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