『らんまん』中田青渚が担う視聴者を新たな物語へと引き込む役割 田邊の印象も変化
そんな聡子を演じるのは中田青渚だ。中田は2018年に『中学聖日記』(TBS系)で連続テレビドラマデビューを果たす。その後、2021年に出演した『あの頃。』『街の上で』『うみべの女の子』の3本の映画の演技が評価され、第43回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞を受賞することになる。この時、『街の上で』『あの頃。』の2作は今泉力哉が監督をしており、この後も中田は今泉が書き下ろしたイヤードラマ『はなのこと。』(NUMA)で再タッグを組んだ。
『らんまん』での中田は、田邊から「内気」と称されるような引っ込み思案な性格の女性をよく表すかのように、震えるような声と大きな潤んだ瞳が印象的だった。登場した瞬間から「何かある」と物語の先を想像させる立ち振る舞いで、視聴者を田邊の新たな物語へと引き込む重要な役割を担っただろう。
だが、聡子は決して田邊の存在に怯えているだけではない。歳は上だし背も高いうえに、権威もある人物だが、聡子は田邊のことを「かわいい」とも表現する。寿恵子と2人で恋バナに花を咲かせる聡子は、羽毛枕を抱えた田邊のエピソードを披露。大柄でキリリとした表情の要潤が大きなフカフカの枕を持っている姿を想像するだけでも「かわいい」と言われる所以に納得がいく。こうした暖かいエピソードが語られたことで、改めて田邊の印象も変わったものになり、2人の夫婦関係が決して悪いものではないことも理解できた。
今後、聡子と田邊が万太郎夫婦にどんな影響を与えていくのかはもちろん、聡子と田邊がどのように夫婦として成長していくのかにも注目したいところ。内気な聡子も、寿恵子との出会いをきっかけになにかが変わるかもしれない。
■放送情報
NHK連続テレビ小説『らんまん』【全130回(全26週)】
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣、広末涼子、松坂慶子ほか
作:長田育恵
語り:宮﨑あおい
音楽:阿部海太郎
主題歌:あいみょん
制作統括:松川博敬
プロデューサー:板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
演出:渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか
写真提供=NHK