『タイタニック』に投影された世紀末の空気 “世界の終わり”は『エヴァ』との共通点も

『タイタニック』に投影された世紀末の空気

 フジテレビ系『土曜プレミアム』で映画『タイタニック』が、6月24日、7月1日の2週に渡って放送されている。

 ジェームズ・キャメロンが監督を務めた本作は、1912年に沈没事故を起こした豪華客船タイタニック号に乗り合わせた、上流階級の娘ローズ(ケイト・ウィンスレット)と画家を目指す貧しい青年ジャック(レオナルド・ディカプリオ)のラブストーリーだ。

 本作は1997年に上映され大ヒットした映画だが、劇場公開時に日本でどのように受け止められていたかは、Netflixで2022年に配信された恋愛ドラマ『First Love 初恋』を観れば、よくわかる。

 『First Love 初恋』は90年代後半から現在にかけてを舞台にした也英(八木莉可子/満島ひかり)と晴道(木戸大聖/佐藤健)のラブストーリーで、高校生の時に2人がデートで『タイタニック』を映画館に観に行く場面がある。雪の中、長蛇の列にならぶ也英は、すでに5回観て5回目が一番泣けたと晴道に語る。そして、満員の劇場で映画を観終えた後、船首でジャックがローズを背中から抱きしめてローズが手を広げる映画の名シーンを2人は真似するのだが、おそらく日本中にああいうカップルがいたのではないかと思う。

 ちなみに同年に国内映画で大ヒットしたのが宮﨑駿監督のアニメ映画『もののけ姫』で、カルト的な熱狂を呼び、社会現象となっていたのが、庵野秀明が監督したアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』(以下、『エヴァ』)の完結編となる
『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』だった。どちらも世紀末と呼ばれた90年代末とバブル崩壊以降の日本の気分が投影された殺伐とした作品だった。

 対して『タイタニック』は宣伝だけ観ると沈没する豪華客船の中で繰り広げられる『ロミオとジュリエット』のようなメロドラマで、究極のデートムービーという印象だったが、監督のキャメロンは『ターミネーター2』を筆頭とするSFアクション映画を得意とする“オタク”から絶大な支持を受けていた監督で、むしろ映像作家としての出自は宮﨑駿や庵野秀明と近い存在だ。そんなキャメロンのバックボーンを忘れさせるくらい、恋愛映画としての『タイタニック』のインパクトは強烈だったのだが、改めて見返すと、本作もまた90年代後半という世紀末の空気が色濃く反映された作品だったことがよく理解できる。

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