階級差からツンデレまで胸キュンを全部乗せ 『タイタニック』の恋愛映画としての魅力

恋愛映画としての『タイタニック』の魅力

 耳にタコができるくらい、“不朽の名作”と呼ばれ続けている映画『タイタニック』。監督・脚本・製作を『ターミネーター』や『エイリアン2』、『トゥルーライズ』といったSFアクションを世に放ってきた印象の強いジェームズ・キャメロンが手がけており、彼のキャリアの中でも異色のド直球ラブストーリーだ。しかし、本作のタイタニック号の精密な再現度、撮影方式、後半のド派手さにキャメロンさを存分に感じられる作品となっている。

 映画が公開されたのは1997年。かれこれ24年前の作品というわけで、正直「名作」と言われすぎていて何だか手が出せなかったり、上映時間が長くてタイミングが掴めなかったり、オチがある程度知られているから後回しにしてまだ観ていない方も多いのではないだろうか。私自身、上記の理由で『タイタニック』は観るのがかなり遅かった方だ。しかし、観るとやはり“名作”であることをひしと感じる作品なので、この『金曜ロードショー』(日本テレビ系)2週連続放送でぜひ観てほしい。5月7日放送の前編は映画の尺的に考えると、みんなが観たいあのアイコニックな名シーンの数々を含む“楽しいパート”であり、めちゃくちゃ胸キュン要素ぶち込みまくりの萌え映画となっているので、その魅力について取り上げたい。

二度見必至の眼福イケメン・ディカプリオ様との船上ランデブーが激アツ!

 本作の舞台は1912年、主人公はイギリスの上流階級の令嬢、ローズ・デウィット・ブケイター(ケイト・ウィンスレット)。婚約者と自分の母親と共にアメリカに向かうため、豪華客船タイタニック号に乗り込む。一方、船のとまるサウサンプトン港のパブでは画家志望の貧しいイケメン、ジャック(レオナルド・ディカプリオ)がポーカーの賭けでタイタニック号のチケットを手に入れ、出港ギリギリで友人と船に飛び乗る。そして彼らは出会い、恋に落ちて、船が沈む、というのが割と分かりきった映画の流れだ。しかし、初見の方にとっては、ストーリーが現代から始まり、とある人物の回想で二人の恋が物語られていくことになる冒頭パートは予想外かもしれない。これも一つ、単なるラブストーリーを描くのではなく一捻りしている点だ。

 さて、搭乗した二人がお互いを初認知するのは、三等船客がメインで使っているデッキにローズがやってくる時のこと。破産寸前のために御曹司のフィアンセと結婚させられる彼女はその現実にまだ向き合えず、彼ら(上流階級者)が来なそうなデッキに逃げてくる。そこでジャックは彼女を見つけ、一目惚れ。一方、視線に気づいたローズもジャックに視線を投げる。すぐに他所を見るが、「待て待て、なんだあのイケメン!?」という具合にまた彼を二度見する時点で、ローズがもうジャックに落ちたことがわかるシーンだ。この時の構図が、デッキの上にいる彼女をジャックが見つめるという二人の階級差を連想させる立ち位置になっているのもいい。

 その夜、船に身を投げて死のうしたローズをジャックが説得し、救う。この時、ローズは本気で死のうとしたわけではなく、思わず足を滑らせた時にジャックの手を掴む。生きるか死ぬかのドキドキ場面で、初対面の男性に命を救われるなんて究極の吊り橋効果だ。しかもその相手は昼間に見かけた顔面国宝ディカプリオ様である。こんなの、恋に落ちない方がおかしい。本当、『ターミネーター2』のエドワード・ファーロングといい、90年代のミディアムヘア系美男子に人類は敵わない。

 さて、そこから二人は船の上で身分差ゆえに許されない恋を育んでいくわけだが、何より本作の最大の魅力の一つとも言えるこのジャックのイケメンっぷりは頭を抱えてしまうほどである。

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