『らんまん』様々な衣装を着こなした浜辺美波の華やかな装い 寿恵子の歩みを振り返る

『らんまん』浜辺美波の衣装と歩みを振り返る

 寿恵子の衣装の見どころは和装にとどまらない。舞踏練習会に参加するときには洋装姿も披露してくれた。特に万太郎の心を射抜いたのは、室内演奏会の時の深紅のドレス姿だった。このとき寿恵子は和洋折衷の時代を物語る、日本髪にロングドレスという組み合わせで登場。その目を見張る美しさには万太郎も言葉を失い、ただただ「きれいじゃ」を繰り返すばかり。大輪の赤いバラのような寿恵子に心を奪われたのは視聴者も同様である。

 ドレス姿といえば、万太郎と結ばれるきっかけにもなった純白のドレスも忘れがたい。「ユウガオのお姫様」と形容された真っ白なドレス姿の寿恵子は、髪にも白い大きなリボンを揺らす。かなり華美なファッションを、浜辺美波は持ち前の透明感あふれる姿でしっかり着こなしている。この幻想的な世界観は、まさに浜辺だからこそ成立したのではないだろうか。花になぞらえたセリフと、夕日を浴びて輝く白の美しさ、そして浜辺と神木の瑞々しい芝居によってロマンティックで魅力あふれるシーンとなった。

 第13週では、万太郎と寿恵子にとっても重要な意味を持つ衣装が登場する。婚礼衣装の白無垢姿だ。寿恵子の高貴な白無垢姿はほんの数十秒のことではあるものの、ついに2人が結ばれたという実感が込み上げる見ごたえのあるシーンとなった。加えてお色直しでは、松竹梅があしらわれた色打掛に文金高島田姿を披露。この日のためにタキ(松坂慶子)がしつらえてくれた思い入れのある衣装でもあり、万太郎も思わず「きれいじゃ、寿恵子さん」と漏らすほどの華やかさにあふれていた。いつもよりはっきりと引かれた朱色の口紅からは、万太郎を支えて生きていこうという決意が見て取れる。

 作品の時代を象徴するものから、花に例えたくなるような美麗なもの、そして万太郎との門出のものまで、寿恵子は様々な衣装で『らんまん』の世界を表現してきた。どの衣装にも寿恵子の生き様が現れており、美しく華やかなだけではない、芯の強さが感じられた。浜辺はそんな全ての衣装を華麗に着こなし、視聴者を楽しませてくれているのだ。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『らんまん』【全130回(全26週)】
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣、広末涼子、松坂慶子ほか
作:長田育恵
語り:宮﨑あおい
音楽:阿部海太郎
主題歌:あいみょん
制作統括:松川博敬
プロデューサー:板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
演出:渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか
写真提供=NHK

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