『らんまん』志尊淳が前半の立役者に 万太郎との日々が竹雄にもたらした変化

『らんまん』志尊淳が前半の立役者に

 『らんまん』(NHK総合)第64話では万太郎(神木隆之介)と寿恵子(浜辺美波)の祝言が開かれた。

 話があると切り出した竹雄(志尊淳)は、綾(佐久間由衣)と夫婦になることを告げた。それとなく気づいていた万太郎がなかなか顔を上げなかったのは、これが竹雄との別れになると予感していたからだ。あらたまって「ありがとう。姉ちゃんのこと、思い続けてくれて。わしのこともずっと支えてくれて。竹雄には一生かかっても返しきれんき」と感謝を伝えた。

 番頭の息子である竹雄は、タキ(松坂慶子)に命じられ、9歳の万太郎のお目付役になった。万太郎の行くところには竹雄の姿があり、忠実な従者、また友として万太郎を支え続けてきた。思い返すと、行動を把握し、金銭管理や家事、人間関係の調整など気苦労が絶えることはなかった。それでも竹雄は、もらったのは自分の方だと言う。

 竹雄の「楽しかったのう」は本心である。竹雄は、幼なじみの万太郎を助けることに喜びを感じていたし、万太郎との日々は出会いと発見の連続だった。それ以上に、充実した毎日を送る中で竹雄自身も殻を破っていた。旧家の奉公人でまじめな性格の竹雄は、佐川にずっといたら、知らない間に自分の可能性を閉ざしていたかもしれない。万太郎がいたことで自由の息吹に触れた。東京へ行くと決めたのは竹雄自身の意思で、それまでの竹雄からは考えられなかったことだ。竹雄は万太郎と寿恵子の出会いの一部始終を知っている。自らの心に正直な友の姿が、竹雄に運命をつかみ取る勇気をくれた。

 その竹雄との別れである。万太郎とすれば悲しい、寂しい、また不安もある。けれども、一途に思いを貫いた友を祝福して、最愛の姉との門出を寿ぎたいし、それができるのは自分しかいない。別れに涙はいらない。必死に涙をこらえながら、ありったけの思いを込めた。

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