『どうする家康』古沢良太脚本の独自性が詰まった瀬名の人物描写 “胸の弾む謀”が悲劇へ

『どうする家康』瀬名の胸の弾む謀が悲劇へ

 しかし瀬名の途方もない計画は、戦に生きる武田勝頼(眞栄田郷敦)にとっては「おなごのままごとのごとき謀」。勝頼は「徳川は織田をだまし、武田と裏で結んでいる」という噂を流すよう梅雪らに命じる。梅雪は「なりませぬ。人心が離れます!」と説得を試みるが、勝頼の意思は揺らがない。千代は瀬名と言葉を交わす中で自身が戦のない世を望んでいることを改めて自覚したのだろう。けれど主君は戦いこそが生きる道と信じてやまない。勝頼と梅雪のやりとりを聞いている千代の失望に満ちた眼差しが心に残る。

 噂は当然、信長の耳に届く。それを知り、瀬名は無念やるかたない面持ちを見せるも、ふと息をついた瞬間にそのまなざしと佇まいは凛としたものへと変わる。もとより瀬名は、大切なものを守るために命を懸けることを覚悟していた。その時が来たことを受け入れる瀬名の表情変化にハッとさせられる。次週、もっとも苦心するのは家康だろう。愛する妻と息子の謀反を、信長は決して許さない。

■放送情報
『どうする家康』
NHK総合にて、毎週日曜20:00~放送
BSプレミアム、BS4Kにて、毎週日曜18:00~放送
主演:松本潤
脚本:古沢良太
制作統括:磯智明
演出統括:加藤拓
音楽:稲本響
写真提供=NHK

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