松嶋菜々子、『王様に捧ぐ薬指』山田涼介&『どうする家康』松本潤の母としての説得力

松嶋菜々子、“松本&山田の母”の説得力

 たとえば、『どうする家康』第3回では、今川を裏切ることを躊躇する家康に対して「家臣と国のためならば、己の妻や子ごとき平気で打ち捨てなされ!」とぶつけた。視聴者には、彼女の“目”にこもった感情が痛いほど伝わったであろう。

松嶋菜々子、『どうする家康』に生きる『利家とまつ』での経験 意識するのは“まっすぐさ”

毎週魅力的な登場人物が登場するNHK大河ドラマ『どうする家康』。その中でも鮮烈な印象を放ったのが、徳川家康(松平元康/松本潤)の…

 『王様に捧ぐ薬指』第8話では、東郷から「あなたは母親じゃない」と言われるシーンがあった。このときの動揺、悲しみ、目を真っ赤にさせながら見せたほほえみ……静の胸のうちが表情にすべて映し出されていた。回想で、オムライスを食べる幼い東郷を見つめるシーンがあったが、とても穏やかで、いまの静とは別人のような表情だった。

 これまで松嶋は、ドラマだけでも、連続テレビ小説『ひまわり』(1996年度前期/NHK総合)でのヒロインをはじめ、『GTO』(1998年/フジテレビ系)、『魔女の条件』(1999年/TBS系)、『やまとなでしこ』(2000年/フジテレビ系)、結婚・出産後も『家政婦のミタ』(2011年/日本テレビ系)や『SUPER RICH』(2021年/フジテレビ系)と、数多くの名作に出演してきた。

 SNSでは、そんな松嶋が松本潤と山田涼介の母親を演じることについて「納得」や「最強」という声が多いようだ。確かに美しさと気品を併せ持つ松嶋が、彼らの母親役を演じるのは、まったく違和感がない。上記で述べたように、もともとのポテンシャルと豊富な経験で形成された「演技力」と「説得力」があるので安心して見届けられるーー。

 作品を経るたび、より煌めきを増す彼女を見ていると、どこかマイナスに捉えられがちな「年齢を重ねること」も悪くないと感じる。「俳優としてどう生きてきたか」を高い演技で証明してくれるので「どう生きるかで人は魅力が増していく」と観ている側も希望が湧いてくるのだ。

 『どうする家康』と『王様に捧ぐ薬指』で、またも俳優としての凄みを見せてくれた松嶋菜々子。年齢を重ねてさらに進化を続ける彼女の“今後”も楽しみで仕方ない。

■放送情報
火曜ドラマ『王様に捧ぐ薬指』
TBS系にて、毎週火曜22:00~22:57放送
出演:橋本環奈、山田涼介、坂東龍汰、長尾謙杜(なにわ男子)、小林きな子、若月佑美、三浦獠太、小林涼子、田仲陽成(Go!Go!kids/ジャニーズJr.)、高橋奏琉(ジャニーズJr.)、宮崎莉里沙、塚地武雅、利重剛、りょう、松嶋菜々子
原作:『王様に捧ぐ薬指』わたなべ志穂(小学館プチコミックフラワーコミックスα)
脚本:倉光泰子、関久代
演出:坪井敏雄、泉正英、宮崎萌加
プロデューサー:橋本梓、勝野逸未
製作:TBSスパークル、TBS
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/ousama_tbs2023/
公式Twitter:@ousama_tbs
公式Instagram:ousama_tbs

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