『ラストマン』永瀬廉が示した希望 刑事ドラマで個人と組織の関係に一石投じる
1982年5月24日深夜。食堂店主の男が不動産会社社長の家に侵入し、社長夫妻を殺害。家に火を放った。『ラストマン―全盲の捜査官―』(TBS系)第9話には、すべてを知る人々が登場した。
皆実(福山雅治)と心太朗(大泉洋)は41年前の再捜査に着手。吾妻(今田美桜)と泉(永瀬廉)が加わったチームは、当時の捜査資料を元に事件を洗い直す。被害者の皆実誠(要潤)は不動産開発会社を経営していた。加害者の鎌田國士(津田健次郎)が食堂を営んでいた店舗の大家は皆実の会社で、2人には接点があった。鎌田の食堂は経営が苦しく、皆実から金を奪うことを決意。2階のベランダから室内に入り、リビングで鉢合わせした誠の妻・勢津子(相武紗季)をテーブルにあったペティナイフで刺殺した。さらに誠ともみ合いになり、階段から落ちた後、灰皿で誠を撲殺。その際に幼かった皆実(柊木陽太)も負傷している。
鎌田の衣服からは盗んだ金品が見つかっており、犯人であることを疑う余地はないと思われたが、皆実は疑問を提起する。ペティナイフはなぜリビングにあったのか? 誠と鎌田が階段の上でもみ合っていた理由は? なぜ皆実は玄関に倒れていたのか? 皆実は誠のスーツと同じ匂いを覚えているが、これは何を意味するのか? 鎌田は躊躇なく勢津子を刺し殺せるような人間なのか?
皆実と心太朗は、火災現場の第一発見者で元捜査一課長の山藤(金田明夫)から当時の話を聞く。単刀直入に事件のことを切り出した皆実は、山藤が何かを隠しているのではないかと疑う。泉の調べによると、地上げ屋だった誠には政界のドン・弓塚(石橋蓮司)がバックにいて、法外な土地取引で利益を上げていた。弓塚と護道家は縁が深く、持ちつ持たれつで現在の地位を築いた。弓塚を介して皆実家と護道家はつながっていたことになる。
弓塚にターゲットを定めた皆実たちは、誠を知る元地上げ屋の池上(渡辺哲)から当時の話を聞く。誠は池上を使って鎌田の店に嫌がらせをしていたが、41年前の事件が話題になったとたん池上は口をつぐんでしまう。吾妻は鎌田が勢津子と同じ料亭で働いていたことを突き止めた。点と点がつながり、おぼろげながら全体像が見えつつあった時、衝撃的な事件が起きた。