『Dr.チョコレート』ついにめ組の黒幕の正体が判明 多くの登場人物にも共通するテーマ

『Dr.チョコレート』め組の黒幕の正体

 Dr.チョコレートに関する記事を出さないと約束したにもかかわらず、奥泉(西野七瀬)の記名で告発記事が掲載されてしまった第8話。それによって野田(坂口健太郎)は唯(白山乃愛)を北澤夫妻のもとに預けることとなり、チョコレートカンパニーもバラバラになる。6月17日に放送された『Dr.チョコレート』(日本テレビ系)は第9話。前回のエピソードのラストで見受けられた、このドラマの起承転結の“転”にあたると思われた一連は、奥泉の思惑によるものではないことが早々に判明したことで振り出しに戻る。同時に、“め様”の正体についても一捻りが加えられ、いわばこの第9話がひとつの大きな“転”として機能することになったといえよう。

 足湯(鈴木紗理奈)から連絡をもらった唯は、最後にもう一度だけオペをしてほしいと頼まれる。ペイシェントは妊娠28週目の妊婦であり、子宮頸がんのステージ2。これまでの仕事で得てきた報酬をすべてつぎ込んでまで彼女を救おうとする足湯だったが、話を聞くにその妊婦とは3日前に知り合ったばかりの赤の他人。久々に集合したカンパニーのメンバーも、足湯がなぜそこまでするのか疑問を感じるのである。一方その頃、町野(戸次重幸)が“め様”であると確信した野田は、彼を呼び出しついに対面を果たす。しかし町野が語ったのは、2年前の事件の後に本物の“め様”は行方をくらまし、自分はその代わりを務めているということだった。

 エピソードのメインプロットとして描かれるのは、チョコレートカンパニーのメンバーのなかでそのバックグラウンドが描かれてこなかった足湯の抱えていた秘密について。仕事の報酬を子どものために貯めていると言っていた彼女だったが、実は夫と子どもを亡くしていた。野田はそのことを知っていたが、唯をはじめ誰にもそのことを話していなかったことが明らかになる。確かに彼女の秘密の重さは、6人のなかで一番最後に回されるのも頷けるものがある。そしてまた、それが唯をはじめとした多くの登場人物にも共通するテーマを有している点でも同様だ。

 それは終盤のオペシーンで、帝王切開によって生まれてきた赤子を前に、唯が語りかける言葉にすべてあらわれている。「忘れなくていいよ。悲しいままでいいんだよ。だって家族が死んだんだもん。家族が死んだらいつまで経っても悲しいよ。でもそれでいいの。私たちはずっと悲しみながら、それでも生きていくの」。両親を殺された唯、家族を水難事故で失った足湯、妹を失ったことで“め様”に傾倒することになった沢入(福山翔太)に、第1話以来の登場を果たし、父を沢入に殺された登戸龍彦(駿河太郎)もまた然り。唯が発したこの言葉は、いつも彼女がオペの際に話す「命はひとつ、誰にも平等にね」の延長線上にある、このドラマの最大のテーマかもしれない。

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