『鬼滅の刃』“蜜璃ちゃん”に誰もが夢中になってしまう理由 癒やしを与える花澤香菜の力
でも、無理して手に入れた幸せが長続きするはずはない。蜜璃がすごいのは誰に言われるでもなく、自分でそのことに気づき、たとえ茨の道であろうと“ありのままでいられる幸せ”を求めたことだ。勇気を持って一歩踏み出したからこそ、自分の居場所を得ることができ、蛇柱の伊黒小芭内とも出会えた。ちなみに伊黒が蜜璃に靴下をプレゼントするシーンは原作だと1コマのみだが、アニメでは二人のやりとりが台詞付きで描写された。素っ気なくも優しさや愛情が伝わってくる伊黒の言葉にぱあっと明るくなる蜜璃の表情が印象的だ。
ただのほほんと生きているわけじゃない。炭治郎との別れの際、「今度また生きて会えるかわからないけど、頑張りましょうね」と声をかけていたように、大切な人を失う悲しみを知っているからこそ、彼女は今ある幸せが続くように死もどこかで覚悟した上で戦っている。
だけど、あくまでも夢はお嫁さん。そんな彼女を見ていると、『セーラームーン』や『プリキュア』といった強くて可愛い美少女戦士に憧れた幼少期の気持ちが蘇る。まるで新体操のリボンみたくうねる桜色の日輪刀で鬼と戦う彼女は魔法少女のようで、緊張感よりワクワクが勝るのだ。また蜜璃は素直に喜怒哀楽を表現するキャラクターだが、その一つひとつの感情をシリアスになりすぎず、しなやかに演じている花澤香菜の力もあるだろう。1/fゆらぎと呼ばれる癒し成分を含んだ彼女の声が、視聴者に安心感を与えていることは間違いない。
そして、物語はついに佳境へ。残された1体の鬼・半天狗を炭治郎は蜜璃たちと共に倒すことはできるのか。毎クール気合の入ったクライマックスを心して見届けたい。
■放送情報
『テレビアニメ「鬼滅の刃」刀鍛冶の里編』
フジテレビ系にて、毎週日曜放送
出演:花江夏樹、鬼頭明里、河西健吾、花澤香菜、岡本信彦、古川登志夫、鳥海浩輔
主題歌:MAN WITH A MISSION×milet「絆ノ奇跡」
原作:吾峠呼世晴(集英社ジャンプコミックス刊)
監督:外崎春雄
キャラクターデザイン・総作画監督:松島晃
脚本制作:ufotable
サブキャラクターデザイン:佐藤美幸、梶山庸子、菊池美花
プロップデザイン:小山将治
美術監督:衛藤功二
撮影監督:寺尾優一
3D監督:西脇一樹
色彩設計:大前祐子
編集:神野学
音楽:梶浦由記、椎名豪
アニメーション制作:ufotable
製作:アニプレックス、集英社、ufotable