『鬼滅の刃』“蜜璃ちゃん”に誰もが夢中になってしまう理由 癒やしを与える花澤香菜の力

 4月よりフジテレビ系にて放送中のアニメ『鬼滅の刃』刀鍛冶の里編。その最終回となる第11話は70分の拡大版で放送される。

テレビアニメ「鬼滅の刃」刀鍛冶の里編 新規キャラクターイラスト解禁映像【甘露寺蜜璃】

 吾峠呼世晴の同名漫画を原作としたTVアニメの第3期に当たる本作は、鬼殺隊最大の武器である日輪刀を打つ刀鍛冶たちが暮らす里が舞台。いわば組織の要であるため、内部でも完全に秘匿とされている。にもかかわらず、鬼舞辻無惨の配下にある上弦の鬼、玉壺と半天狗が襲来。たまたま自分を担当する刀鍛冶・鋼鐵塚蛍に会いに里を訪れていた主人公の竈門炭治郎は彼らとあいまみえることとなる。

 ちなみに、上弦の鬼にはヒエラルキーを表す番号が振り分けられているが、半天狗が上弦の肆、玉壺が上弦の伍。つまりは第2期「遊郭編」で炭治郎が柱の宇髄天元、妹の禰豆子、同期である我妻善逸や嘴平伊之助と力を合わせ、どうにか討伐した上弦の陸・堕姫、妓夫太郎兄妹よりも強いのだ。しかも、2体。冷静に考えてかなり絶望的な状態であり、実際に多くの刀鍛冶が命を落とす。

 だが、不幸中の幸いだったのは、そこに霞柱の時透無一郎が居合わせたことだろう。彼はわずか14歳で、炭治郎よりも年下。しかしながら刀を握ってわずか2カ月で柱まで上り詰めた天才だ。その強さは玉壺があっさりと倒されたように見えてしまうほど。一方で感情が希薄で、時に冷酷なほど合理的だった彼が炭治郎との交流をきっかけに、人のために行動するようになる様が前半戦の見どころだった。

 そして、後半戦の見どころはやはり恋柱・甘露寺蜜璃の活躍ではなかろうか。彼女が命を受けて里に駆けつけてくれた時の安心感は凄まじかった。それは柱だから、というだけではない。どんな危機に直面しようとも、決して失われない彼女の明るさが張り詰めた空気を壊してくれたのである。

 原作ファンやアニメの視聴者から“蜜璃ちゃん”という愛称で親しまれる彼女は、柱の中でもかなり異質な存在だ。それはひとえに、暗い影を落としていないところ。多かれ少なかれ、柱たちは鬼に大切なひとを殺されていたり、現代風に言えば機能不全家庭で育っていたりと心に傷を負っている。かたや、第10話でも描かれたように蜜璃は優しい両親のもとでのびのびと育った。自分がもらった愛情を、同じように弟や妹、周囲の人たちにも向けられる。彼女はそんな女性だ。

 では、なぜわざわざ鬼殺隊に入ったかといえば、一生添い遂げる相手を見つけるため。わずか1歳で十数キロの漬物石を持ち上げるほど、生まれつき力が強く、食べる量も半端ではない蜜璃。その容姿は周りをドギマギさせるほど美しいが、髪の色が他の人とは異なることも相まって、見合いが破談となってしまう。そのことから結婚するために自分を偽るようになった彼女の心情は、現代人にも理解できるのではないだろうか。

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