『あなたがしてくれなくても』本音でぶつかった2組の夫婦 みちたち4人は幸せになれるのか

『あなたがしてくれなくても』4人の結末は

 「夫婦とは二人三脚だ」と、誠の母・幸恵(大塚寧々)が生前に話していたことを思い出す。どんなに愛を誓い合った2人だとしても、長い人生を共にすれば、ずっと同じ歩幅でいることは難しい。どちらかが早く走ろうとしたり、あるいは休まなければならなくなったり。そのたびに2人の足を繋いでいる紐を結び直し、肩を組み直していく調整が必要なのだ、と。

 とはいえ、それがなかなか簡単にはいかないもの。どうして、ずっと同じペースで走れないのかと責めたくもなるし、なぜ一緒の方向を見てくれていないのかとやきもきする気持ちが先に来て、相手を労うことを忘れてしまいそうになる。

 さらに、子どもを授かるタイムリミット。仕事を頑張らなければならないタイミング。いつ、どのライフイベントを迎えるのか、という若い恋人時代には考えられなかったような現実が、結婚して共に年を重ねていくからには向き合わなければならなくなる。

 そんなたくさんのハードルを目の前に、一緒に走るパートナーが同じ熱量で走ってくれていないとわかれば、それだけで意気消沈してしまうもの。ときには自分の思い通りにいかない相手を見て、むしろ1人で走ったほうがスマートにいくのではないか、なんて思うことも。だから、離婚した直後は急に身軽になって「1人で生きていきたい」と意気込みたい気持ちもわからなくもない。

 しかし、先述したとおり、人は変わりたいところほど簡単には変われない。離婚を決意して、昇進試験を頑張ると腹をくくったのも、どこか後輩の勢いに流されたところもあったように見える。誠が、欠けたパズルのピースにこだわるあまり新しいパズルを買ってもらったという完璧を求めてしまう性格がなかなか変わらなかったように。陽一の言葉足らずなところも、楓のすぐにいっぱいいっぱいになってしまうところも、きっとすぐには変わらないだろう。

 でも、彼らには離婚をきっかけにいいところも見えてきた。みちはこれと決めたら突き進める努力家だし、新名の後輩に頼まれて昇進試験の勉強に付き合う面倒見の良さは健在。陽一にはどこか憎めない魅力があり、楓は誰よりも仕事を愛している。

 彼らが結婚をしていた時間が「無駄だった」とならないようにするためにも。4人にはどうか今流れている涙を乗り越え、自分たちのいいところを磨きながら、幸せになってほしいと願うばかり。次週、いよいよ最終回。どんな結末が待っているのか、「どうしたら幸せになるのか」と様々な選択肢を予想しながら待ちたい。

■放送情報
木曜劇場『あなたがしてくれなくても』
フジテレビ系にて、毎週木曜22:00~22:54放送
出演:奈緒、岩田剛典、田中みな実、永山瑛太、さとうほなみ、武田玲奈、宇野祥平、MEGUMI、大塚寧々ほか
原作:ハルノ晴『あなたがしてくれなくても』(双葉社)
脚本:市川貴幸、おかざきさとこ、黒田狭
演出:西谷弘
プロデュース:三竿玲子
主題歌:稲葉浩志「Stray Hearts」(VERMILLION RECORDS)
挿入歌:稲葉浩志「ダンスはうまく踊れない」(VERMILLION RECORDS)
音楽:菅野祐悟
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/anataga_drama/
公式Twitter:@anataga_drama
公式Instagram:@anataga_drama
公式TikTok:@anataga_drama

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