『スパイダーバース』続編、公開10日で前作超え 北米No.1は『トランスフォーマー』最新作
『トランスフォーマー』と『スパイダーマン』の人気シリーズ対決を北米で制したのは、今週初登場の『トランスフォーマー/ビースト覚醒』だった。6月9日~11日の週末興行収入は、6050万ドルでランキングのNo.1を獲得。もっとも注目すべきは、公開2週目の『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』の恐るべき勢いだろう。
奇しくも『トランスフォーマー』と『スパイダーバース』は、前作が同じ2018年公開で、ともに5年ぶりの続編。『トランスフォーマー/ビースト覚醒』は、前作『バンブルビー』(2018年)の流れを汲み、シャイア・ラブーフ主演『トランスフォーマー』初期3部作に繋がる前日譚とされる。
『トランスフォーマー』シリーズは今回で7作目だが、6050万ドルという初動成績は『バンブルビー』の2165万ドル、第5作『トランスフォーマー/最後の騎士王』(2017年)の4468万ドルを上回り、近作屈指の成績。海外市場でも1億1000万ドルの好スタートで、世界興収は1億7050万ドルとなった。シリーズ開始から16年、いまだ衰えない求心力を証明する結果と言える。
本作は1994年を舞台に、あらゆる星々を食べ尽くす最強の敵・ユニクロンに立ち向かうべく、オプティマスプライム率いるトランスフォーマーが、動物に変化する新たな希望・ビーストたちとともに戦う物語。日本でも人気のアニメ『ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー』(1996~1997年)に基づき、ゴリラの“コンボイ”ことオプティマスプライマル、ハヤブサのエアレイザー、チーターのチータス、サイのライノックスらが登場する。
出演者には『イン・ザ・ハイツ』(2021年)のアンソニー・ラモス、ドラマ『キラー・ビー』(2023年)のドミニク・フィッシュバックをはじめ、声優に『パシフィック・リム』(2013年)のロン・パールマンや『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(2022年)のミシェル・ヨーらが揃った。監督は『クリード 炎の宿敵』(2018年)のスティーヴン・ケイプル・Jr.。
シリーズの今後を左右するポイントは、製作費2億ドル+広報・宣伝費を回収し、黒字化を叶えられるかどうかだ。現状では海外市場でのさらなるヒットが必要とみられているが、Rotten Tomatoesで批評家スコア52%・観客スコア92%、観客の出口調査に基づくCinemaScoreで「A-」評価を得ているあたり、口コミ効果がうまく作用する可能性はある。
『トランスフォーマー/ビースト覚醒』の日本公開は8月4日、夏休みの大作ラッシュの中でいかなる存在感を示すことができるか。
さて、No.1の座を譲った『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』のすさまじい勢いである。週末興収は5542万ドルで、2週目だが『トランスフォーマー/ビースト覚醒』に僅差で追った。公開後10日間の北米興収は2億2544万ドル、海外興収は1億6450万ドルで、世界累計興収は3億8994万ドル。前作『スパイダーマン:スパイダーバース』(2018年)の最終成績を早くも抜き去ったのである(前作は北米1億9024万ドル、世界3億8425万ドル)。
特筆すべきは、『アクロス・ザ・スパイダーバース』のオープニング成績(6月2~4日)が1億2066万ドル、2週目の週末興収が5542万ドルで、前週比-54.1%にとどまったこと。マーベル・DCを問わず、近年のスーパーヒーロー映画は2週目で前週比-60~70%という大幅下落に陥ることが少なくない中、本作は『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』の-48%に続いて記録的な粘り強さを見せつけた。
カギを握ったのはやはり作品に対する高評価で、Rotten Tomatoesでは批評家スコア96%・観客スコア95%もの高水準を維持。この熱狂ぶりの中、日本ではいよいよ今週末の6月16日に劇場公開となる。