磯村勇斗は“いまもっともイケてる俳優”だ イメージに囚われないキャリアを振り返る
冒頭に“いまこの時点において誰か1人を挙げるならば、私は迷わずに磯村勇斗の名を口にする”と記したが、これだとやや語弊がある。フィーバー状態が起こっているのは、“いま”だけではないのだ。ここ数年は何度もそのような状況が生まれている。たとえば2021年には、『劇場版 きのう何食べた?』の封切りの翌月に『彼女が好きなものは』が公開され、時を同じくしてアングラ演劇『泥人魚』の舞台に立っていた。そして翌月には映画版『前科者』が公開。演じる役は多岐にわたっている。
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そしてやはり2022年にも同じような時期があった。国内外で高く評価された『PLAN75』が公開の翌月に、初主演映画『ビリーバーズ』が公開。さらに『異動辞令は音楽隊!』と『さかなのこ』が連続して封切られた。『PLAN75』は現代社会が抱える切実な問題を真正面から描いたシリアスな作品だった一方、『ビリーバーズ』はカルト団体に属する者たちの無人島での奇妙な生活を描いたものだった。この2作に続けて出会い、強烈なパンチを食らったのは私だけではないだろう。
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ここ数年の俳優・磯村勇斗のキャリアを簡単に振り返っただけでも、いかに彼が作品に愛されている存在(=必要とされている存在)なのかが分かる。偶然か必然か、ここまで公開時期が重なるというのも彼が恵まれている証だろう。そして何より特筆すべきなのは、彼の作品選びのセンスだ。俳優というのは特定のイメージに囚われやすく、一度囚われてしまうと抜け出すのがなかなか難しい。誰にだって得意なタイプの役や作品のジャンルがあるようだが、活動を展開するうえで偏りが生じると、やはり特定のイメージに囚われることに繋がる。親しみやすくも次から次へと私たちを裏切る彼こそ、“いまもっともイケてる俳優”なのである。
■公開情報
『最後まで行く』
全国公開中
出演:岡田准一、綾野剛、広末涼子、磯村勇斗、駿河太郎、山中崇、黒羽麻璃央、駒木根隆介、山田真歩、清水くるみ、杉本哲太、柄本明
監督:藤井道人
脚本:平田研也、藤井道人
製作幹事:日活・WOWOW
制作プロダクション:ROBOT
配給:東宝
©2023映画「最後まで行く」製作委員会
公式サイト:https://saigomadeiku-movie.jp/
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