『正義の天秤』亀梨和也の鷹野に再会できる日を願って Season2最終回までの巧みな構成
また、最終回においてサプライズだったのは、弁護士姿の元気な久美子が登場したことだろう。ルーム1で一人、真樹夫の手紙を読み、南野に対して葛藤する鷹野の前に久美子が現れる。それは鷹野が見た幻ではあるが、「自分の気持ちはどうにもできない。非合理的だ」という初心を思い出させるような言葉以上に、久美子の笑顔が鷹野の邪心や憎悪をクリアにしたのではないだろうか。リハビリを続ける久美子は表情が乏しかっただけに、演じる大島優子の笑顔がより眩しく感じるシーンである。
久美子と距離を置くことを決断した鷹野にとっては、微かな笑顔を向けてくれた確かな記憶がきっと未来に繋がっていくと信じるしかなかった。久美子との何気ない思い出も、抱きしめたくなるほどにキラキラと輝いていく。鷹野の回想は胸を締め付けるほど切ないが、衝撃のラストは視聴者にとってはある種嬉しい幕切れだっただろう。
久美子の入院する病室を見つめる鷹野。窓辺に飾られている花、白いレースのカーテンが風に揺れているのを確認し、鷹野はその場を後にしようとする。その時、聞こえてきた久美子の「鷹野くん」と呼び止める声。思わず振り返る鷹野の表情でSeason2はラストとなった。思えば、Season1のラストではSeason2の冒頭に繋がるようにと前期の時点で続きを撮っていたような節があり、これはSeason3を確信づける終わり方と捉えていいだろう。杉村(北山宏光)と咲良(大原櫻子)の結婚を前提にした交際の件も、はっきりとは答えが出ておらず、まだまだ西園寺(竹中直人)とのいざこざを見ていたい気持ちもある。何より鷹野に聞こえた久美子の声の真意はなんだったのか。またルーム1のメンバーと再会できる日を楽しみに。
■配信情報
『正義の天秤 season2』
NHK+、NHKオンデマンドにて配信中
出演:亀梨和也、奈緒、北山宏光、大政絢、佐戸井けん太、大原櫻子、大島優子、竹中直人、中村雅俊、山口智子
原作:大門剛明
脚本:田辺満、井上季子
音楽:河野伸
制作統括:渋谷未来(ジ・アイコン)、真鍋斎(NHKエンタープライズ)、清水拓哉(NHK)
演出:片岡敬司、二宮崇
写真提供=NHK