『水星の魔女』“対話”が一大テーマに 最善を求めたミオリネ&マルタンと暴力の無慈悲さ

『水星の魔女』第19話、“対話”がテーマに

 ついに、シャディクの暗躍がミオリネたちの耳に届いた。『機動戦士ガンダム 水星の魔女』第19話では、地球へと降り立ったミオリネがアーシアンとの交渉を進める一方で、プロスペラが独自に行動し、地球では戦いの火蓋が切られた。

※本稿には『機動戦士ガンダム 水星の魔女』第19話のネタバレを含みます。

 今回の大きなテーマとしてあるのは“対話”の重要性。地球へと到着したミオリネとグエルを取り囲むデモグループが表明しているのはスペーシアンへの不満だ。「EARTH IS ANGRY」「WE WILL NOT BE SILENCED!!」と書かれたプラカードを見るに、アーシアンにとってスペーシアンは憎むべき対象であることを今回の一件で改めて感じた。とはいえ、ミオリネは争うために地球に来たわけではない。アーシアン側との交渉に臨んだミオリネは、復興開発拠点を建設することにより、現地雇用率のアップをメリットとして提示するが、交渉相手からプラント・クエタ襲撃の後に生死不明になった人数が明かされる。その数はなんと1529人。アーシアンに対する差別意識は地球寮のメンバーに対するスペーシアンの発言などからも明らかだったが、現実的な数字を上げられると言葉にならない。

 加えて、スペーシアンは地球から出ていけという要求を突きつけられたミオリネは、最後の手段としてGUND技術による医療事業をアピールする。アーシアンの憤りは理解できないかもしれないが、対話によって解決することがミオリネの願いだ。そんなミオリネの思いに共感したアーシアン側は、総裁選の結果が出るまでは抗議活動をやめることに決めた。

 また、ニカの裏切りを密告したことを悔いていたマルタンは、セセリアから責め立てられていた。「ニカと話すことを諦めた」と語るマルタンだったが、それが地球寮を守る唯一の方法だったとも。セセリアが「だったらそう言えばいいじゃん」と発破をかけたことによって、マルタンは地球寮のメンバーに管理者に通報したことを明かすことを決心した。ニカの裏切りに納得できずに苛立つチュアチュリーに対して、ティルは「マルタンの悩みに気づいてあげられなかった」とマルタンに優しい言葉を投げかける。

「一番いいやり方じゃなくても、ああするしかなかったから、私、何も分かっていなかった」

 マルタンのおかげで、エアリアルの真意に気づくことができたスレッタ。最善の方法ではなくとも、最善に近い方法が最善になるときもあり得る。それはマルタンとの対話を通して、スレッタが感じたことだ。ここでも対話をすることの大切さを示唆している。もしあのときプロスペラとエアリアルがスレッタとしっかりと向き合って対話をしていたならば、スレッタはここまで苦しまなくてもよかったのにと思わずにはいられない。

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