花江夏樹×桜田ひよりが語る『ライオン少年』で感じた文化の違い 「初めてのことばかり」

花江夏樹×桜田ひよりが語る『ライオン少年』

 中国の伝統芸能である獅子舞の演武に挑む少年たちの熱いバトルと成長を描く、孫海鵬監督による中国のCGアニメーション映画『雄獅少年/ライオン少年』が公開された。

 日本でも各地で馴染みのある獅子舞の発祥の地・中国で制作された本作は、美しい映像とともに想像を超える獅子舞の華麗なCGアクションが印象的だ。そんな獅子舞を動かす主人公・チュンを花江夏樹、同名の少女チュンを吹き替え初挑戦の桜田ひよりがそれぞれ演じる。日本語吹き替えを担当する2人に、本作の見どころや、吹き替えならではの苦労や難しさを聞いた。【インタビューの最後には、サイン入りチェキプレゼント企画あり】

映画『雄獅少年/ライオン少年』花江夏樹さん、桜田ひよりさんからメッセージ到着!

「日本のアニメーションとの文化的な違いを感じました」

花江夏樹

ーー本作のオファーを受けたときは、どのように感じましたか?

花江夏樹(以下、花江):僕の中で獅子舞は、正月やお祭りごとのときに見かける存在で、ちょっと動きが遅いイメージがありました。なので、それをアニメーションにして面白いのかな、というのが正直な気持ちでした。そこで公式サイトやPVを見てみたら、想像していた獅子舞とだいぶ違っていて。今まで獅子舞をテーマにした作品に出会ったことがなかったので、すごく興味深く、面白そうだなと思ってオファーを受けました。

ーー私も見たことがない獅子舞の動きと競技でした。

花江:競技になっているのは知らなかったですよね。すごく細い柱の上を本当に歩けるのかなと、食い入るように観てしまいました。

ーー桜田さんはいかがですか?

桜田ひより(以下、桜田):私も最初は日本の獅子舞を想像していました。こんなに細部までこだわっている獅子舞を使ってバトルを繰り広げる姿は、すごくカッコよかったです。人生で初めて吹き替えをさせていただくので、私でいいのかなと思いながら、いろんな映像を観つつ、研究しました。

ーー役名としては2人とも同じですが、生き方や葛藤はそれぞれ違います。それぞれが演じられた役は、どのようなキャラクターだと考えていますか?

花江:主人公のチュンは、見た目はガリガリ、両親が出稼ぎに行っていてお金がない貧乏な家庭で、弱々しい一面があるように見えます。そこに女の子のチュンが登場して、それに合わせて少しずつ変化をしていきます。そんな中でも家族を思う気持ちだったり、1本の芯が通っている、心は強い子なんだと思います。自分が置かれている状況にも負けずに立ち向かっていくことができて、物語の終盤にかけては肉体的にも精神的にもどんどん成長していきます。諦めない気持ちを持っていたり、自分の心に正直に動けるというのは、すごく尊敬できる部分だなと思います。

ーー日本の作品と比べると、どのような部分で違いが生まれるのでしょうか?

花江:中国では当たり前なのかもしれませんが、獅子舞の文化、街並みだったりとかは僕にはすごく新鮮に見えました。演じる際に日常的なものなんだという心境でやらないといけないなと思ったので、そこに日本のアニメーションとの文化的な違いを感じました。なので、起きたことがどのくらい衝撃的なことなのか、もしくは普通のことなのかというすり合わせをしっかりすることを意識していました。あとは、口の動きが中国語に合わされていて、さらに表情もコロコロと切り替わるので、完成したアニメーションに合わせて後から声をあてる作業は、どうしても中国語合わせになってしまいます。そこを日本語でどのくらい合わせていけるのかという点がすごく大変でした。

桜田ひより
桜田ひより

ーー桜田さんは本作が吹き替え初挑戦ですが、まず役柄について、どのように考えましたか?

桜田:チュンちゃんは、すごく芯の通っている女の子です。女性や男性から見ても憧れの対象なんじゃないのかなという印象が強くありました。でも、冒頭のシーンの獅子舞を使って演技をしている姿を見ると、遊び心も持っている印象を受けました。

ーー桜田さんは、アニメーションの声のお仕事自体は『薄暮』(2019年)で経験されています。今回は吹き替えですが、通常のアニメーションとは違う感覚でしたか?

桜田:『薄暮』のときは映像がまだ出来ていなくて、絵コンテの状態で声を入れていたので、声の演技については「自由にやっていいよ」と言われていました。なので普段やっているドラマや映像の感覚に近かったんです。今回は作品が出来ている状態で、なおかつ吹き替えなので、感覚も違うし、初めてのことばかりでした。監督には何回も何回もその場に来ていただいて指導してもらったので、すごく新鮮な気持ちでした。

桜田ひより

ーー実写での演技と声の演技は、全く違うんですね。

桜田:全然違います。例えば、自分が普段出している声量よりも大きめの声量でやらないと、映像になった際に雰囲気が大きく違ってしまうことを知りました。実際に「1回流してみるから聴いてみて」と言われて確認もしたのですが、思った以上に声を出さないと、普通に喋っている感覚にならないんだなと思いました。また、映像なら声だけではなく、顔の表情とか体の動きも合わせて表現できるので、声だけで感情を表現しなきゃいけないことがすごく難しかったです。

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