『らんまん』は“衣装の変化”が多くを物語る 神木隆之介のオープニングの服装は何を表すのか

『らんまん』は“衣装の変化”が多くを物語る

 もう一人はジョン万次郎(宇崎竜童)。彼は着物の中にデニムシャツを着ていたが、それは史実でもジョン万次郎こと、中濱万次郎がアメリカからデニム生地とミシン(ドラマでも万次郎の部屋にミシンが置かれていた)を日本に持ち帰ったとされているからだろう。こちらも実際に本人がデニムを着ていたという記録は見つからなかったが、万次郎がはじめて日本でジーンズを縫い上げたというフィクションのストーリーに基いて、デニムウェアを作る「ジョンマン・デニムプロジェクト」も高知県土佐清水市観光協会主導で行われている。

 そんな彼らとの出会いが重なり、自分が後悔しない道を選び取ることができた万太郎も東京で初めてのスーツを誂える。茶色のスーツに蝶ネクタイをつけ、ハットを被ったスタイルは万太郎のモデルになった牧野富太郎と同じ。黒や紺ではなく全体をアースカラーでまとめているところに植物学者らしさを感じる。「恋人である植物に会うのだから」と植物採集の時はいつも正装で出かけていたという牧野博士。しかし、写真によっては革靴ではなく、脚絆に草履を履いており、足元に関しては実用性を重視していたことも伝わってくる。万太郎も現在は革靴だが、今後採集に向かう中でオープニングのような古きものと新しきものとが融合したスタイルになっていくのではないだろうか。

 一方、女性の洋装化が進むのはまだ先のこと。多くの女性が着物姿のままだったが、鹿鳴館での舞踏会に参加する女性の間でヒップラインが膨らむバッスルラインのドレスが流行する。「やってみたいことはやるべき」という万太郎の言葉で舞踏会への参加を決意した寿恵子も小紋の着物からドレスに変身するのだろうか。竹雄のボウイ姿も合わせて、楽しみである。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『らんまん』【全130回(全26週)】
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣、広末涼子、松坂慶子ほか
作:長田育恵
語り:宮﨑あおい
音楽:阿部海太郎
主題歌:あいみょん
制作統括:松川博敬
プロデューサー:板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
演出:渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか
写真提供=NHK

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