有村架純「あほたわけ!」の貫禄 『どうする家康』第19回に詰まった“おなご”たちの強さ

『どうする家康』有村架純の正室としての誇り

 お万は瀬名の前から立ち去る前、強い目でこう語った。

「政もおなごがやればよいのです。そうすれば、男どもにはできぬことがきっとできるはず。お方様のようなお方ならきっと……」

 自分がしたことを恥じてはいないと言ったお万は、“おなごの戦い方”があるように政にも“おなご”だからやれることがあると信じている。お万の言葉は、正室としての立場を重んじる瀬名の心に刻まれた。瀬名が岡崎に残ることを決意したのは、家康の行いに腹を立てた妻としての決断ではないが、信康と五徳、亀姫の身を案じる母としての決断でもないように思える。まだまだ政を行うには幼いと思しき信康と五徳とともに、政に関わらんとする正室としての決心にも思えた。と言いつつも、物語の終わりには安らかにお茶を嗜む姿が映し出された。瀬名が何気ない日常を何よりも大切にしていることが伝わってくる。

 第19回では瀬名とお万が目を引いたが、五徳を演じている久保の演技にも心惹かれる。幼い頃の五徳に比べると、気の強さが落ち着いたようにも思えたが、さすがは織田信長の娘。瀬名から本心を打ち明けるよう諭されると、落ち着いた口調ではありながらも「義母上がおそばにおられると、信康様はいつまでたっても甘さが抜けませぬ」ときっぱり答えた。久保の気品ある佇まいと凛とした口調には、信長やその妹・市(北川景子)に通ずるものがある。

■放送情報
『どうする家康』
NHK総合にて、毎週日曜20:00~放送
BSプレミアム、BS4Kにて、毎週日曜18:00~放送
主演:松本潤
脚本:古沢良太
制作統括:磯智明
演出統括:加藤拓
音楽:稲本響
写真提供=NHK

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