2023年最も“胸くそ悪い映画”はこれだ! 『ソフト/クワイエット』の抗えない魅力
本作は、間違いなく2023年で最も胸くその悪い映画です。劇中で描写されるヘイトクライムは見るに堪えないひどいものですし、同じく人種差別をテーマにした『ゲット・アウト』や『キャンディマン』のような作品を想定して観ると、あまりの救いのなさに絶望するかもしれません。正直に言うと、ヒーローでも怪獣でも怪奇現象でも、なんでもいいからこの場に現れて、こいつらを全員踏みつぶしてくれないかとすら思いました。
それでも、最後まで観続けてしまうのは、女たちが暴走していく様子を全編ワンショットで捉えた臨場感あふれる映像と、92分というコンパクトな尺のおかげです。差別をされる側ではなく、する側の視点に立ったストーリーも斬新で、まったく共感できないものの、どこか抗えない魅力があります。
むごい、悲しい、腹が立つ、でも観てしまう。そんな珍しい体験をぜひ劇場でしてみてはいかがでしょうか。
■公開情報
『ソフト/クワイエット』
全国公開中
監督・脚本:ベス・デ・アラウージョ
出演:ステファニー・エステス、オリヴィア・ルッカルディ、エレノア・ピエンタ、メリッサ・パウロ、シシー・リー、ジョン・ビーバース
提供:ニューセレクト
配給:アルバトロス・フィルム
2022年/アメリカ/英語/92分/16:9/5.1ch/G/日本語字幕:永井歌子
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公式サイト:soft-quiet.com