2023年最も“胸くそ悪い映画”はこれだ! 『ソフト/クワイエット』の抗えない魅力

『ソフト/クワイエット』の抗えない魅力

 リアルサウンド映画部の編集スタッフが週替りでお届けする「週末映画館でこれ観よう!」。毎週末にオススメ映画・特集上映をご紹介。今週は、教育実習で「声が大きすぎる」とフィードバックを受けた花沢が『ソフト/クワイエット』をプッシュします。

『ソフト/クワイエット』

 その昔、某ニュースサイトのコメント欄を管理する仕事をしていたことがあります。

 出社すると、まず最初にユーザーから違反報告があったコメントの一覧を開く。荒らし行為、宣伝目的のリンク、差別的な文言……。1つ1つに目を通して、「これはセーフ」「これはアウト」と全てのコメントを割り振っていく。すっきりした気持ちで次の業務へ。昼過ぎにふとさっきのページを見ると、また違反報告のあったコメントで埋め尽くされている……。

 毎日作業をしながら、「こんなにひどいことを言う人は、普段どんな暮らしをしているんだろう?」とよく考えていました。そういったユーザーが10人、100人では済まないのを見るに、毎日同じ電車に乗って、同じスーパーで買い物をしている人の中にも、日常的に差別的な書き込みをしている人はいるらしい。

 『ソフト/クワイエット』はまさに、そういった人々の視点で進む物語です。アメリカ郊外の小さな町。会社員や教師、スーパーの店員、専業主婦などをしている6人の女性が、ある集会を開きます。その名も「アーリア人団結をめざす娘たち」。彼女たちは、グループ・カウンセリングのように輪になって、日頃溜まっている有色人種へのヘイトを吐き出します。やがて、“団結”した女性たちは、スーパーで出会ったアジア系の姉妹に喧嘩を売り、逆恨みから恐ろしい復讐を計画。見る見る間に転落していきます。

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