大ヒットした前作からジャンルが変化? 『あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。』の挑戦

前作からジャンル変化、『あの星』の挑戦

 リアルサウンド映画部の編集スタッフが週替りでお届けする「週末映画館でこれ観よう!」。毎週末にオススメ映画・特集上映をご紹介。今週は、プラネタリウム好きの宮川が『あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。』をプッシュします。

『あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。』

 2023年末に公開され、興行収入45億円を突破するスマッシュヒットを記録した『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』。あれから2年半ーー続編にして完結編となる『あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。』は、日本の映画興行において非常に重要な作品になると言えるだろう。

 背景にあるのは、前作『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』の存在だ。Z世代を中心としたTikTokなどのSNSによる口コミから爆発的な動員を生み出した前作は、1945年の戦時下と現代を結ぶタイムスリップ構造と、若年層に向けたわかりやすいエモーショナリズムで社会現象となった。その直接的な続編となる本作は、前作が残したある種の「消費される感動」という側面を超えて、映画としていかに成立させるかが問われる作品となっている。

 物語は、前作で特攻隊員の彰(水上恒司)と出会い、現代へ戻ってきた百合(福原遥)の“その後”を描く。高校生だった前作から7年後、過去の記憶を抱えながら高校教師になった百合の前に、彰の面影を持つ青年・涼(細田佳央太)が現れる。自分を真っ直ぐに想ってくれる涼に揺れ動く百合だが、彰を裏切るようで、恋の一歩を踏み出すことができず……。

 前作との最大の違いは、“戦時下へのタイムスリップ”というSF的ギミックが消え、現代社会における“記憶の継承”といった、より内省的なテーマにシフトしている点だ。

 主演の福原遥の演技アプローチにも、その変化が現れている。前作での衝動的な感情の発露に対し、本作での彼女は、消えない傷を抱えながら日常を営む一人の女性としての静かな佇まいを意識している。そして前作の水上恒司のポジションにあたる重要な役を務めた細田佳央太は、前作で彰がまとっていた悲壮感とは対照的な、どこか捉えどころのない現代的な揺らぎを巧みに表現してみせている。

 監督は、前作を手がけた成田洋一から、新城毅彦へバトンタッチ。『僕の初恋をキミに捧ぐ』『四月は君の嘘』『366日』など、数々の王道ラブストーリーを手がけてきた新城監督の手腕が遺憾無く発揮されており、前作とは別のジャンルの映画として非常に見ごたえのある作品に仕上がっている。

 一方で、前作から受け継がれているのが、「戦争の悲惨さ」と「生きることの尊さ」を描いているという点。直接的な続編にしてここまでジャンルががらりと変わる作品も珍しいが、根底に描かれているテーマは前作から踏襲されている。一過性のブームで終わらせず、大ヒット作の“その先”を誠実に描こうとした制作陣の試みを、前作のファンはどう受け止めるのか。興行的に前作の熱狂をどこまで再現できるかという点も含め、注視していきたい。

■公開情報
『あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。』
8月7日(金)全国ロードショー
出演:福原遥、細田佳央太、出口夏希、豊嶋花、井之脇海、伊藤健太郎、中嶋朋子、水上恒司、上川周作、小野塚勇人、松坂慶子、倍賞千恵子
原作:汐見夏衛『あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。』(スターツ出版文庫)
監督:新城毅彦
脚本:山浦雅大
音楽:日向萌
主題歌:福山雅治「邂逅」(アミューズ/Polydor Records)
企画・制作幹事・配給:松竹
製作:映画「あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。」製作委員会
©2026「あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。」製作委員会
公式サイト:https://movies.shochiku.co.jp/anohoshi-movie
公式X(旧Twitter):https://x.com/anohoshi_movie
公式Instagram:https://www.instagram.com/anohoshi_movie
公式TikTok:https://www.tiktok.com/@anohoshi_movie

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