乃木坂46 久保史緒里、『どうする家康』で確かな存在感 舞台で獲得した説得力が花開く

久保史緒里、『どうする家康』存在感ある演技

 だからといって、必ずしも画面上での影が薄いことを意味しない。それが伝わってきたのが『左様なら今晩は』(2022年)であり、『どうする家康』での演技である。

 『どうする家康』の第17回では、徳川の拠点を次々と制圧していく武田信玄(阿部寛)に対して、家康(松本潤)は信長(岡田准一)の本軍が加勢に来るまで浜松城に立てこもることを決める。しかし、武田軍は浜松城を素通りし、西へと向かってしまうのだった。そこで家康はある手段に出ることに決める。

 久保が演じるのは信長の娘であり、信康(細田佳央太)の正室である五徳。公式サイトによると、信長やその妹の市(北川景子)に似て、気品に溢れ気が強いが、心根は優しい役どころだ。信長の密命によって、数奇な運命に巻き込まれてしまうという紹介から察すると、悲しい未来が待ち受けていそうだ。

 五徳は、戦場に行く兄を心配する家康の長女である亀姫(當真あみ)をなだめると、信康に対して「信康様、武田を打ちのめしてやりなされ」と力強い眼差しで後押しする。まだ出演時間が限られており、どのような人物なのか、その詳細はわからないが、美しく気高い人物であることは十分に伝わってきた。そこにいるだけで漂う芯の強さが五徳からは感じられ、それは久保がアイドルとしてパフォーマンスする際の姿とも重なって見えた。信長譲りの気概のある女性像をたったひとつのセリフで印象付けたのは久保の力量だろう。ちなみに乃木坂46の公式Twitterでは、五徳の扮装をするために100分の時間を要することが明かされており、美しく着飾った久保の衣装やヘアスタイルにも注目してみるとより一層楽しめるはずだ。

 『どうする家康』が放送されてからというもの、今か今かと待ち望んでいた久保の登場。まだ物語にどのように絡んでいくのかは見えてこないが、大河デビューを果たしたという事実だけで感慨深い。これを機に久保の上質で説得力のある演技が世間に広まっていくだろうし、これから俳優としてさらに羽ばたいていくことに期待したい。

■放送情報
『どうする家康』
NHK総合にて、毎週日曜20:00~放送
BSプレミアム、BS4Kにて、毎週日曜18:00~放送
主演:松本潤
脚本:古沢良太
制作統括:磯智明
演出統括:加藤拓
音楽:稲本響
写真提供=NHK

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