『らんまん』大東駿介を揺さぶった神木隆之介の言葉 万太郎の金遣いと学歴に不安も
「よし、決まったー!」
神木隆之介の絶叫が鳴り響いた『らんまん』(NHK総合)第29話。倉木(大東駿介)とえい(成海璃子)夫妻の息子・健作(渋谷そらじ)の面倒をみた縁で、長屋の住人と親しくなった万太郎(神木隆之介)。長屋に空き部屋があると知って、差配人のりん(安藤玉恵)に部屋を借りると申し出た。
懸案だった住居問題が解決した。万太郎と関わる長屋の面々は、元彰義隊の倉木一家に棒手振りで干物を売る福治(池田鉄洋)親子、小料理屋の女中ゆう(山谷花純)、落語家の牛久亭九兵衛(住田隆)と東京大学に通う丈之助(山脇辰哉)。十分個性的な顔ぶれに、植物好きの酒蔵の元当主とその付き人が加わった。
大量の標本を持ち込む変わったご近所さんに、十徳長屋の店子たちは興味津々。金払いの良い万太郎にあやかろうとおせっかいを焼く。万太郎の身の上を聞き、うまい話はないと知って肩を落とす長屋の人々。正直であけすけな生きざまは、地に根を張る野草のようだ。野草といえば、井戸端に生えるドクダミを万太郎は長屋の人々と採取。薬や蚊よけ、化粧水になる薬草をせっせと集めて天日に干した。
標本を買い戻すと宣言した万太郎は、約束通り代金を持って倉木の家を訪ねる。前話で「みくびるな!」とまなじりを上げて叫んだ万太郎はかつてない迫力だったが、今度は倉木の独白に胸をわしづかみにされた。標本を言い値で買い取る万太郎に、倉木は「たかが雑草」と吐き捨てた。
「誰の目にも入らねえ。入ったとて、疎まれ、踏みにじられ、踏みにじったことも誰も覚えてねえ。雑草なんか、生えててもしょうがねえだろうが」
倉木の過去に何があったかのか。詳しいことはわからないが、彰義隊で幕府のために戦い、敗れた倉木が送ってきた人生は、決して明るいものではなかっただろう。最下層の生活を余儀なくされ、屈辱を噛みしめてきた倉木にとって、たかが雑草を愛でる万太郎は理解を超えており、雑草のために有り金を差し出す姿は、神経を逆なでするものでしかなかった。