『王様に捧ぐ薬指』“キング”山田涼介の好きが溢れる 悪女を演じてきた橋本環奈の苦しみ

『王様に捧ぐ薬指』山田涼介の好きが溢れる

「だったら俺が地獄に行くのを見てろ。一番近くで」

 これほど強烈なプロポーズはない。いや、すでに(契約)結婚をしている2人だからプロポーズとはまた違うのかもしれないが……。いずれにしても、どんな不幸が降り掛かっても構わないからそばにいてほしいという愛の告白は、完全無敵な“キング”らしい名シーンだった。

 火曜ドラマ『王様に捧ぐ薬指』(TBS系)第4話は、過去の恋を吹っ切ることができた東郷(山田涼介)の綾華(橋本環奈)への想いが加速する回に。もはや隠しきれないほどに綾華への“好き”が溢れてしまった東郷の、なんといじらしいことか。

 綾華が落ち込んでいれば、どうやって恋人を元気づけているのかとハチ(森永悠希)に聞く。その行動に、これまで東郷が自分から誰かの機嫌を取ることなんてする必要がなかったことが伺える。ハチが「ケーキで機嫌を取る」と話していたことから、きっと東郷もおしゃれなスイーツを買い込んで帰るのかと思った。しかし、帰宅した東郷の手にはスイーツにしては重みがありそうな紙袋。その中には綾華の好きな納豆やキムチがどっさりと入っていた。しかも、東郷自身は苦手なものばかり。アドバイスだけでなく、綾華なら何を喜んでくれるのかと考えて買い物をしたのだと思うと、胸がキュッとなる。

 また、綾華から新婚旅行記念にもらった寄木のペアストラップも、「こんなものを俺がつけると?」なんて言いながら、しっかり身につけている東郷。しかし、綾華の愛犬・ネギの首輪から同じものがぶら下がっているのを見てガッカリ。だが、綾華が鍵につけているストラップを見つけてフワッと表情が明るくなるのもかわいらしい。

 ピタリとハマるのはたった1組しかない寄木細工。ふいにネギにつけられたものと自分のものを合わせてみる。それはセリフのないシーンなのに、「合うな、合うな……」という東郷の心の声がつぶやかれているのを感じた。

 さらに、今度は寝ている綾華を起こさないようにそっと近づき、綾華の鍵がつけられた方のストラップに手をのばす。その真剣な眼差し、ちょっぴり緊張感の漂う指先からも「お願い! お願い!」と聞こえてくるようだった。そしてパチっとハマった寄木に目を丸くして飛び上がり「マンマミーア!」と思わず笑顔で叫んでしまう姿にも、こちらまで顔がほころんでしまった。

 そんな献身的な東郷に、綾華もまた特別な感情が生まれつつあるようだった。それは、まだまだ東郷のような“好き”とまではいかないまでも、パートナーとして大切な存在であるということ。だからこそ、不安になってしまったのだ。高校時代の同級生・神山(坂東龍汰)や、マネージャーの佐々木(小林きな子)のように、何かと妬まれやすい自分と親しくすれば、いつかきっと誰かに傷つけられてしまうのではないか、と。

 綾華が仲良くなればなるほど、それだけ相手が傷つくのを見るのが苦しくなる。ましてや、好きになってしまったら、もうそばにはいられない……。だから、綾華は悪女を演じて人と親しくならないようにしてきたのだと、当初の振る舞いを思い出す。好かれないようにすることが、綾華にとっての周囲に対する愛情なのだと思うと、なんとも切ない気持ちになる。

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