『日曜の夜ぐらいは...』清野菜名がアクションを封印 感情を抑圧して生きる“平凡な女性”に
日曜の夜を温かく包み込んでくれそうなドラマが始まる。『日曜の夜ぐらいは...』(ABCテレビ・テレビ朝日系)だ。主演の清野菜名が演じるのは、公団住宅に車イスの母親と2人で暮らし、生活を支えるためにファミレスのバイトを休みなく続ける20代女性・岸田サチ。そんなサチが、母親が応募したラジオ番組主催のバスツアーに参加し、そこで祖母と田舎暮らしの樋口若葉(生見愛瑠)やタクシー運転手の野田翔子(岸井ゆきの)と運命的な出会いを果たし、戸惑いながらも心を通わせていく様子が描かれる。
清野といえば、高い身体能力を活かした魅せるアクションシーンを得意とする俳優として名を馳せている。ヒロインを務めた『今日から俺は!!』シリーズ、横浜流星とW主演を務めた『シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。』(読売テレビ・日本テレビ系)でのキレの良い躍動感たっぷりの身体表現には目を奪われた。また映画『キングダム2 遥かなる大地へ』では華麗な剣術を披露していたのも記憶に新しい。
そこから一転、『婚姻届に判を捺しただけですが』(TBS系)では独身生活を謳歌するデザイナーの大加戸明葉役で主人公を務め、広告代理店に勤める百瀬柊(坂口健太郎)との“偽装結婚”生活を通して自分たちらしい夫婦や結婚の形に悩む等身大な女性の姿を演じた。天真爛漫な役どころゆえ、そんな明葉が自身の本心に蓋をして我慢をしたり、気づかない振りをして傷つかなくてもいいように予防線を張って無理して見せる笑顔には胸が痛んだ。弾むような笑顔が似合う清野だけに、何か諦めたように涙を堪え無理して笑おうとする表情がより一層胸に迫るのだ。
松坂桃李とのW主演映画『耳をすませば』では大人になった雫を演じ、その中に“中学生の頃の雫”を投影させ、時間経過で変わらないもの、失われてしまわないもののきらめきを繊細に見せてくれた。かと思いきや、映画『ある男』ではそう多くはない登場シーンの中で、物語の流れを変えるようなキーパーソンを演じ、気になる存在感を刻んでいたのも印象的だった。