『合理的にあり得ない』天海祐希が三枚目を演じる理由 過去作と対照的なキャラクターに
宝塚の男組スターで二枚目のイメージを持つ天海が、あえて選んだカッコ悪い役。ハンサムな女性を多く演じ「理想の上司」の常連だった天海が“外した”役を演じるのは何か狙いがあると考えるのが普通だろう。新境地の開拓やパブリックイメージの打破、ファン層の拡大など理由はいくつも考えられるが、端的にもともと持っていたポテンシャルが発揮されているのが本作の天海ではないか。
ご存知のように天海はサービス精神旺盛な人である。宝塚時代から熱狂的なファンの期待に応え続ける中でそれは鍛えられたと思われる。バラエティー番組やイベントで見る彼女は、周囲への気遣いを忘れない人だ。それでいて自然とそこにいる全員をリラックスさせ、笑顔にしてしまう。そんな天海にとってハンサムでクールな女性は一つの顔であるが、『合理的にあり得ない』で目にする気取らない姿も、まぎれもなく天海の中にあるものだ。
とはいえ、これまで培ってきたキャラクター像を裏切らないのが名優たるゆえんかもしれない。子どもと大人の狭間にいる久実を、涼子は「人は信じるな。自分の目でちゃんと人を見抜く力をつけなさい」と叱る。同性への厳しくも優しいまなざしは、私たちが知る天海祐希その人だった。
さて、反響を巻き起こしている天海と松下のコンビネーションだが、おかしみを誘う秘訣は会話の“間”にあるようだ。表情と視線のタイミング芸については、次回以降もう少し掘り下げたいと思う。
■放送情報
『合理的にあり得ない~探偵・上水流涼子の解明~』
カンテレ・フジテレビ系にて、毎週月曜22:00〜放送
出演:天海祐希、松下洸平、白石聖、中川大輔、丸山智己、仲村トオルほか
原作:柚月裕子『合理的にあり得ない 上水流涼子の解明』(講談社文庫)
脚本:根本ノンジ
演出:光野道夫、二宮崇、倉木義典
プロデューサー:萩原崇、清家優輝
音楽:眞鍋昭大
制作協力:ファインエンターテインメント
制作著作:カンテレ
©︎カンテレ
公式サイト: https://www.ktv.jp/arienai/
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