『すずめの戸締まり』北米初登場7位で大絶賛に 波紋を呼ぶアリ・アスター監督の新作も
「日本VSホラー」。4月14日~16日の北米週末興行収入ランキングを一言で言うのなら、そういう言葉がふさわしいのかもしれない。先週に続き、第1位は『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』。3日間で8700万ドルを記録し、アニメーション映画の2週目の興行成績として、再び『アナと雪の女王2』(2019年)を抜いて史上最高の数字となった。
『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』のすさまじさは、どんな大作映画であれ、だいたいは2週目の下落率が大きくなる傾向の中、前週比-40.6%という粘りを見せた点にある。特にスーパーヒーロー映画やホラー映画の場合、2週目の下落率は-60%以上となることもザラで、これは公開初週に映画館を訪れる熱心なファンが興行を支えていることを意味する。これに対して「-40.6%」という数字は、いかに本作が新しい観客を招き入れているかの証左と言えるだろう。
現時点で本作の北米興収は3億4782万ドル、海外興収は3億3013万ドルで、世界累計興収は6億7795万ドルにのぼる。いずれも『アントマン&ワスプ:クアントマニア』を抜いて2023年最高の成績であり、今年初の10億ドル突破は既定路線だ。もはや「ビデオゲームの映画化として……」といった枕詞は必要ない。
スーパーマリオがハリウッドをはじめ世界を席巻する中、“もうひとつの日本発”ともいうべき新海誠監督作品『すずめの戸締まり』(2022年)も北米公開を迎えた。3日間の興行収入は283万ドルで第7位の発進となったが、Rotten Tomatoesでは批評家スコア95%、観客スコア98%という高評価を獲得。2170館での公開とあって、口コミ効果で動員が伸びることも期待される。
『すずめの戸締まり』の北米配給は、日本製アニメーション映画をアメリカの観客に届けつづけているCrunchyroll。北米では『鬼滅の刃』『ドラゴンボール』といったコミック由来の作品には興行面で及ばなかったものの、中国・韓国では記録的なヒットを達成。本作が世界的に大きな存在感を示したことは確かだ。
そんな中、今週のランキングには3本のホラー映画がトップ10に初登場。ラッセル・クロウ主演の実話エクソシストホラー『The Pope’s Exorcist(原題)』は、3日間で915万ドルを記録し、『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』には大差をつけられたが、第2位にランクイン。製作費は1800万ドル、すでに黒字化が視野に入っている。Rotten Tomatoesでは批評家スコア46%とやや渋めだが、観客スコアは83%と好評。監督は『オーヴァーロード』(2018年)のジュリアス・エイヴァリーが務めた。
第4位の『Renfield(原題)』は、ニコラス・ケイジが吸血鬼ドラキュラを、主人公であるドラキュラの手下・レンフィールドを『ザ・メニュー』(2022年)のニコラス・ホルトが演じたホラーコメディ。3日間で777万ドルという初動だが、製作費は6500万ドルとあって興行的にはかなり厳しい。Rotten Tomatoesでも批評家59%、観客81%という微妙な成績で、口コミでの追い上げは難しそうだ。
予想外だったのは、本作は公開直前まで第2位のスタートと予測されていたところ、蓋を開ければ『The Pope’s Exorcist』や公開4週目の『ジョン・ウィック:コンセクエンス』に敗れたことだ。現地時間の月曜日に数値が確定した際、接戦となっている第5位『AIR/エア』(3日間で772万ドル)にも逆転される可能性がある。監督は『レゴバットマン ザ・ムービー』(2017年)のクリス・マッケイ。