『地獄楽』『マッシュル-MASHLE-』にみる小林千晃の求心力 なぜ主役抜擢が続く?
また小林は『マッシュル-MASHLE-』のマッシュ・バーンデッドの演技でも、他人を不器用に想う主人公を作り上げている。
『マッシュル-MASHLE-』は魔法が使えない主人公マッシュが、鍛え上げた肉体だけを武器に神覚者を目指して戦う姿を描いたアブノーマル魔法ファンタジーだ。ギャグテイストな雰囲気が漂う作品ということもあり、マッシュというキャラから心の動きはなかなか伝わりづらい。
しかし小林の演じるマッシュは、ギャグの面白さはそのままに家族想いな面が不思議と伝わってくる。たとえば、マッシュがおじいちゃんに対して接するシーンでは、淡々としていながらどこか愛の感じられるセリフのやり取りが、ギャグの流れに溶け込んでいる。小林の演技は、葛藤が描かれずにスッキリと観ることができるコメディ系のアニメにおいても、キャラの人柄や持ち味を拾い、主人公としての味わい深さを作り出す。いわゆる“激しくない”キャラであっても抑揚が自然で、聞き手を引き込む力があるのもまた、小林の声の魅力だ。
『地獄楽』『マッシュル-MASHLE-』は、小林の持ち味でもある、他人を想う気持ちをのせた“主人公ボイス”が随所で光る。過去のさまざまな作品でも主演を演じてきた小林だが、この春の2作品は特に小林ならではの主人公が楽しめる要素が詰め込まれていると言える。タイプの異なる主人公の中に秘められた小林の演じる主人公の本質を確かめてみると、新しい発見があるかもしれない。
■放送情報
『地獄楽』
テレビ東京系列ほかにて、毎週土曜23:00より放送
Prime Video、Netflix、Leminoにて、毎週土曜24:00より配信
原作:賀来ゆうじ『地獄楽』(集英社 ジャンプ コミックス刊)
監督:牧田佳織
出演:小林千晃、花守ゆみり、木村良平、小野賢章、高橋李依ほか
シリーズ構成:金田一明
キャラクターデザイン:久木晃嗣
音楽:出羽良彰
制作:MAPPA
企画:ツインエンジン
原作協力:少年ジャンプ+編集部
©︎賀来ゆうじ/集英社・ツインエンジン・MAPPA
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