『ザ・グローリー』復讐が生んだ未来とは? パート2で注目すべきキャラクターを解説

『ザ・グローリー』パート2の注目キャラ

 『ザ・グローリー ~輝かしき復讐~』待望のパート2が3月10日にNetflixで配信され、パート1以上に人気が加速すると今もなお熱が冷めやらず、日本の「今日のTV番組TOP10」でもトップを独走中だ(2023年4月6日現在)。

 主人公のムン・ドンウン(ソン・ヘギョ)は高校時代に5人のクラスメイトから壮絶ないじめを受け、心身ともに生涯消えない傷を負い自主退学をする。工場で働きながら高卒認定を受けて大学に入学し、36歳になったドンウンは私立小学校の教師となった。18年の歳月をかけて緻密な計画を練り、加害者や傍観者らを社会から追い出すドンウンの復讐劇が始まる。

 パート1では、現在に至るまでのストーリーから復讐が幕を開け、ドンウンの仕掛けた罠にかかった加害者集団に亀裂が生じていく様子が描かれた。多様な登場人物や複雑に絡み合った事件が1つ1つ解き明かされていくパート2では、加害者や復讐する者、そして被害者がどんな結末を迎えるのか。本稿では、5人の加害者以外にパート2でスポットを当てられた人物を追いながらドンウンの復讐を見届けていきたい。

 まずは本作をグローバル圏においてもヒットに導いた俳優陣の完成度の高い役作りと熱演ぶりに拍手を送りたい。その中でも一際目立っていたのはいじめの加害者リーダー、パク・ヨンジンを演じたイム・ジヨンだろう。悪役が輝いてこそ復讐劇は盛り上がる。ぴくっと動く筋肉ひとつにも圧倒される演技を披露し、大ブレイク中の俳優だ。

 しかし、パート2ではヨンジンを超える悪役が再び登場する。それがドンウンの母チョン・ミヒ(パク・ジア)だ。貧しい母子家庭で育ったドンウン。アルコール依存症のミヒはヨンジンの母親に金で買われて、当時高校生だった娘を捨て、18年後にはヨンジンに金で買われてドンウンの前に現れる。オレンジ色に近い金髪姿に変身し、もう一度ドンウンを地獄に引きずり落しにきたミヒは悪魔そのもので、かなりの迫力である。無表情を貫いてきたドンウンが感情を爆発させ、泣き叫んだのはたった1回、母親の前だけ。母親が子供にする行為とは到底思えないが、簡単に切ることはできないのが親子の縁だ。だが血縁関係を利用して母親に復讐したドンウンは、母親を上回る衝撃を私たちに与える結果となった。

 ドンウンの協力者であり、自らも暴力を振るう夫に復讐を誓ったカン・ヒョンナム(ヨム・ヘラン)。彼女の存在を無くしてドンウンの復讐、この物語は終結に向かえなかったであろう。ドンウンと違う点はヒョンナムには守るべき娘がいること。生きる原動力が違っても同じ目的を持った者同士の絆は強い。ヨンジンのターゲットとなったヒョンナムだが、パート2では被害者の連帯感が深まる過程も見どころ。さらに注目すべきはヒョンナムが自分の復讐を果たした時。彼女は泣いて泣いて、笑った。解放、安緒、喜び、罪悪感......全ての感情が入り混じったシーンは鳥肌が立つほど圧巻だった。赤い口紅を塗る日を迎えるまでの、ヒョンナムの壮絶な人生を演じ切ったヨム・ヘラン。凄みのある俳優であると再認識させられた。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる