上野樹里、等身大の演技の中で光る強さ 『私小説』では瀬戸康史とどんな夫婦に?
発達障がいを抱える夫と、彼に寄り添い続ける妻の純愛物語が描かれる2夜連続SPドラマ『私小説 ―発達障がいのボクが純愛小説家になれた理由―』(テレビ朝日系)。『いま、会いにゆきます』などで知られる市川拓司の小説『私小説』を基に岡田惠和が脚本を手がける本作で、発達障がいを抱える主人公・伊佐山ジン(瀬戸康史)の妻・優美役を演じるのが上野樹里だ。
上野といえば、自然体で等身大の演技が印象的だ。そして大切なもの、愛するもののために強くなれる役どころがよく似合う。
上野の代表作の1つである『のだめカンタービレ』(フジテレビ系)では、その天真爛漫さが超変人で天才的なピアノの才能を持つ音大生“のだめ”こと野田恵役で遺憾無く発揮された。水を得た魚のように音と戯れながら弾むように転がるようにピアノを演奏するのだめの姿と、生活力ゼロの彼女の日常のギャップの大きさが面白いのはもちろんだが、その落差のみをひたすら見せるのではなく、いずれもひっくるめて“彼女らしさ”なんだと矛盾なく見せてくれる。『のだめカンタービレ』は初のミュージカル化が控えており、のだめ役はドラマ・劇場版と同様に上野が務めることも発表されている。彼女にとってこれが満を持して初の舞台となるというところにも思わず運命的なものを感じてしまう。
『監察医 朝顔』が帰ってくる 上野樹里が「まだまだ、朝顔を演じたい」と語る理由
『監察医 朝顔』(フジテレビ系)が帰ってくる。 法医学者×刑事、異色の父娘を描く同名漫画作品を原作に、第1シーズン、2クール…
上野の等身大の中に光る二面性は『監察医 朝顔』シリーズ(フジテレビ系)での万木朝顔役にも通じる。家族で食卓を囲む際のナチュラルで柔和な表情から一転、法医学者として解剖に臨む時には瞬時にして身に纏う空気が変わり、緊張感が走る切り替えに引き込まれる。
対象を具に眼差し、違和感を見逃さない朝顔は『テセウスの船』(TBS系)での主人公・心(竹内涼真)の妻であり、タイムスリップ後は彼が真相を追う事件を担当する週刊誌記者として再会を果たす由紀役にも通ずるところがある。常に前向きでへこたれず、記者としての使命感から、また途中からはそれを超えて心に寄り添い、諦めず信じ抜く姿が次々に酷な展開が待ち受け、希望を打ち砕かれていく作中において揺るぎない一縷の光であり続けた。“寄り添う”“支える”というと、人知れずひっそりと一歩引いて、というような言葉が連想されるが、彼女の寄り添い方はもっと能動的だ。