西野七瀬、『シン・仮面ライダー』は“悪役俳優”の真骨頂 『あな番』から積み上げた経験

西野七瀬、“悪役俳優”として真骨頂発揮

 そうした経験を重ねていく中で、『シン・仮面ライダー』では実に『あな番』以来となる悪役を演じている。西野が演じているのはSHOCKERの上級構成員のハチオーグ/ヒロミ。ハチオーグは緑川ルリ子(浜辺美波)にとって友達に近い存在であり、2人が対峙する場面ではお互いに葛藤を見せるなど、敵ながら共感しやすいキャラクターだった。

『シン・仮面ライダー』キャラクター動画(緑川ルリ子×ハチオーグ/ヒロミ編)《絶賛公開中》

 詳細なネタバレは伏せるが、ハチオーグがルリ子に向かって「あなたのおもちゃを目の前で壊してあげる。だから泣いて。私の前で思いっきり泣いて」と叫ぶシーンは、西野の悪女感とサイコな魅力が詰まっていた。本作を見て改めて感じたのは西野の悪役としての妙。普段は優しい目をしている西野が、作中では葛藤を抱えながらも蔑んだ表情を見せる。俳優にとってパブリックイメージは邪魔なものかもしれないが、西野は素朴で儚いイメージが強いからこそ、悪役を演じる際にその彩度が際立つのだ。ハチオーグはまさに西野のそんな魅力が存分に発揮された配役だったように思う。だが、もう一度言わせていただくと、それには西野の演技力が基盤にあることが前提でなければならない。これまでに幅広い役を引き受け、経験を重ねてきた西野だからこそ表現できたのが『シン・仮面ライダー』のハチオーグだった。

 『あな番』『シン・仮面ライダー』と少ないながらも悪役俳優として大きな印象を残している西野。清純な役だけではなく、悪役というキャラクターを確立させた彼女は強い。4月からは『Dr.チョコレート』(日本テレビ系)への出演も決定しており、西野の快進撃はまだ続きそうだ。

■公開情報
『シン・仮面ライダー』
全国公開中
出演:池松壮亮、浜辺美波、柄本佑、竹野内豊、斎藤工、大森南朋、長澤まさみ、西野七瀬、松坂桃李、森山直太朗、塚本晋也、手塚とおる、松尾スズキほか
原作:石ノ森章太郎
脚本・監督:庵野秀明
配給:東映
©石森プロ・東映/2023「シン・仮面ライダー」製作委員会
公式サイト:https://shin-kamen-rider.jp
公式Twitter:https://twitter.com/Shin_KR

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