満島ひかり「“子どもたちにとって気になる大人”でありたい」 10代の経験と独立、そして今

満島ひかりロングインタビュー

「全体の捉え方がプロデューサーさんっぽいのかもしれない」

ーー3月には3本の新作エピソードが放送され、4月からはレギュラー化となります。レギュラー放送ではこれまでと何か変わることがあるんでしょうか?

満島:もちろんこれまで通り素敵なアニメーションですが(笑)、エピソードによっては歌を歌ったりするので、そういう新しいことはあるかもしれません。

ーー3月29日放送のエピソード「だいすきなともだちのことばで なんでくるしいんだろう?」では、ハンバート ハンバートが作詞作曲した「みんなアイラブみーソング」が流れました。満島さんはパパやみーなどひとりで10以上のキャラクターの声で歌われたんですよね?

満島:レコーディングもかなり画期的で、「今日は14くらいのキャラクターの声でレコーディングしようと思っているんですけど……」ってアニメの制作陣がにこやかに言ってくるんですよ(笑)。そうやって、皆さんがいろいろと引き出してくれるので、完成した音源を聴いて自分で自分に感動とかしてしまいました(笑)。

ーー“歌”で言うと、満島さんは先日、自身のクリエイションレーベル「Rhapsodies」の設立を発表されました。ひかりとだいち love SOIL&”PIMP”SESSIONSでの活動や、女王蜂の新曲「回春」にフィーチャリングで参加するなど、音楽面での活動も盛んになっている印象です。

満島:音楽に限らず、デザインする人とかものを作る人たちと一緒に“反応”し合える何かができないかってイメージはずっとあって。もちろん私が表に出てもいいし、出なくてもいいんです。ものの溢れる時代にまた新たに何か作るなら、“かつて”と“これから”の橋渡しをしながらオリジナルを作っていたい。映画やお芝居の作品でも、私に似合っていたり何だか分からないけど面白くなりそうなときは一員になるし、他の方のほうが素敵だと感じれば「私よりいい方いるかも」とお伝えすることもあります。全体の捉え方がプロデューサーさんっぽいのかもしれないです。

ーー監督業に挑戦したりはしないんですか?

満島:監督にだけはなりません。

ーーそうなんですか? なぜ?

満島:なんでもやってしまう満島ひかりさんはヤじゃないですか(笑)。監督はもっと決めなきゃならないことが多くなっちゃうハズだから。役者さんにも監督をして素敵な方も増えていますけど、私には向いていないかなと。監督の横でちゃちゃ入れるほうが向いています(笑)。

ーーなるほど(笑)。ここ数年でスタンスが変わったというのは、やっぱり事務所を独立されたことも関係しているんですか?

満島:それは間違いなく大きいです。やっぱり独立するのって、怖いっちゃ怖いじゃないですか。旧来の日本の芸能界のシステムから外れることにもなるので、場合によっては喧嘩を売っているようにも思われてしまう。いわゆる“干される”っていうやつですよね。私はそういうことはなかったんですけど、やっぱり事務所にいたほうが、いろんな方がサポートしてくださるので安心感や安定感はあるし、既存のシステムから降りるのはある種のステータスを捨てることでもあるので、やっぱりそれなりの覚悟は必要で。ここからはフィジカルを強くしなくちゃ立てないなと、今も感じています。

ーーここ数年は独立される方もかなり増えてきましたけど、10年前、20年前とかではなかなか考えづらいことでしたよね。

満島:そうかもしれませんね。事務所にいても独立しても、自分の中に光る何かがあればきっとやっていけるし、私なんかはきっと、遠回りしても時間がかかっても、道を拓いていくことになるんだろうなと感じています。

ーー独立後も『未来への10カウント』(テレビ朝日系)や映画『TANG タング』、Netflixシリーズ『First Love 初恋』など、メジャーな作品に出続けているのもすごいですよね。

満島:たしかに(笑)。メジャーなところにいるかと思えば、予期せぬマイナーところにも出現するって面白いですもん(笑)。気分はどちらもあるし、両方とも好きなので、どっちつかずにならずに臨機応変に行けたらカッコいいですね。相当難しいことですが。

ーーでもそういう人って満島さんくらいしかいないような気がします。“満島ひかり”というジャンルがあって、そこには満島さん1人しかいないみたいな。

満島:もうジャンルですよね、何を目指してるんでしょう(笑)。でもやっぱりフリーだからこそ縦横無尽にエンターテインメントして、体力を補って、そしていい風吹かせていたいです。客観的な立ち位置で、たくさんの力をくれる作り手の皆さんがもっとシンプルに動ける環境の、サポートもできたらいいなと思っています。

ーー俳優仲間とそういう話をすることってあるんですか?

満島:チラホラありますよ。最近は20代とか10代とか、年下の子と話をすることも多くなりました。何かを教えるというより、私自身がやってきた“自分を育むこと”とか、“いま悪いように見えていることも見方を変えれば面白がることができちゃう”なんて話は結構します。視点を変えることで世界が広く見えて、広がるからこそ小さな点に集中できることを一応伝えてみたり。でも何か、ひとりひとり違っているから年が上とか下とかよく分からなくなってきますし、「好きだな」「素敵だな」「応援したいな」と感じる仲間たちと出会えたり、同じ時代を過ごしてること自体がこのごろ嬉しくてたまらないです。

ーー以前、『未来への10カウント』で満島さんと共演されていた吉柳咲良さんにインタビューをしたときに、まさにそういう話をされていました。

吉柳咲良、『星降る夜に』で挑んだ未知の世界 変化のきっかけとなった満島ひかりの存在も

吉高由里子演じる鈴と北村匠海演じる一星の恋模様が話題の連続ドラマ『星降る夜に』(テレビ朝日系)。2月21日放送の第6話では、北斗…

満島:あら(笑)。咲良はエネルギーがパンパンに詰まっていて見ていて面白かったから、それを伝えました。彼女と共演した『未来への10カウント』もそうだけど、生徒役とか子どもの役で共演したみんなは、「どうしてるかな? 元気にしてるかな?」って、気にかけてしまいます。

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