『らんまん』森優理斗が引き出す大人の俳優の良い表情 『鎌倉殿の13人』からの成長ぶりも

『らんまん』“愛され子役”森優理斗に注目

 またその後、八重に両親を亡くした鶴丸の気持ちをわかってあげてほしいと諭された際、「母上は金剛の母上です。私だけでは駄目なのですか」と少し言いにくそうに伝えた台詞回しも印象的だ。八重を演じる新垣結衣も、このシーンについて「金剛がそれだけ思い切らないと、そういう自分の願望のようなものを素直に発言させてあげられない状況になってしまっている、ということに気づいた瞬間は、やっぱり『本当にごめん』という気持ちになりました」と振り返っている。(※1)

『鎌倉殿の13人』新垣結衣が八重の思いを語る 「時間が戻ってしまったような感じ」

毎週日曜日に放送されているNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』。このたび、八重を演じた新垣結衣よりコメントが寄せられた。  NH…

 名子役の存在は対峙する大人の俳優の良い表情、良い演技を引き出すものだ。映画『夜、鳥たちが啼く』では、売れない作家・慎一(山田裕貴)のもとに身を寄せる、友人の元妻でシングルマザー・裕子(松本まりか)の一人息子であるアキラを演じた森。いびつな半同居生活を送る慎一と裕子の、心にぽっかりと空いた穴を森が演じる天真らんまんなアキラの存在が埋め、明るいとは言えないこの映画に幸せな時間を作り出した。また、心から愛おしそうにアキラを見つめる裕子の表情が印象的だったが、裕子を演じる松本はのちに「お母さんという気持ちに初めて気づかせてくれたのは優理斗のおかげ」と森に感謝を述べている。(※2)

 今回の『らんまん』でも、広末涼子演じる母のヒサや、松坂慶子演じる祖母のタキらの万太郎に向ける眼差しに注目したい。由緒正しき蔵元の跡取りとして生まれたものの、体が弱くすぐに熱を出してしまう万太郎。家族の心配や分家の人々の不満などお構いなしに動き回る無邪気さやちょっとわがままなところ、一方で「自分は他の人と違う」ということに対して悩み始めるその成長過程を森は鮮やかに体現する。それが、周りの大人たちを演じる俳優の味わい深い表情を生むのだ。牧野博士や神木にも負けず劣らずの愛され子役である森の演技をしっかり堪能したい。

参照

※1 https://realsound.jp/movie/2022/05/post-1039986.html
※2 https://www.musicvoice.jp/news/241808/

■放送情報
NHK連続テレビ小説『らんまん』
NHK総合にて、4月3日(月)より放送【全130回(全26週)】
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣、広末涼子、松坂慶子ほか
作:長田育恵
語り:宮﨑あおい
音楽:阿部海太郎
主題歌:あいみょん
制作統括:松川博敬
プロデューサー:板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
演出:渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか
写真提供=NHK

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