『らんまん』森優理斗が引き出す大人の俳優の良い表情 『鎌倉殿の13人』からの成長ぶりも
神木隆之介が主演、浜辺美波がヒロインを務めるNHK朝ドラ第108作『らんまん』が、4月3日よりスタートした。本作は、約1500種類以上の植物に学名をつけ、「日本の植物分類学の父」と知られる牧野富太郎博士の生涯をモデルに、明治から昭和へと移り変わる時代を愛する草花と向き合いながら駆け抜けた天才植物学者・槙野万太郎の物語を紡ぐ。
牧野博士といえば、いつもカッターシャツに蝶ネクタイで植物採取に向かっていたというエピソードが広く知られている。「恋人である植物に会うのだから」というのが、その言い分だ。そんな上品でちょっとお茶目な牧野博士は写真の中でいつも朗らかに笑っていて、好きなことを追い求められる喜びに満ちている。きっとその笑顔、その姿が周囲の人にも幸せを与えたのだろう。
主演の神木もまた、牧野博士と同じく生粋の愛されキャラだ。幼い頃から数々の映像作品で名演技を披露し、天才子役と謳われながらも驕り高ぶったところが一切ない。バラエティ番組などで展開するトークは知性とユーモアセンスに溢れていて、人を楽しませようという気概をひしひしと感じる。だから、芸歴28年という長い道のりを多くのファンがともに歩んできたし、同業者からも好かれるのだと思う。
そんな牧野博士と神木の魅力がない交ぜになった、万太郎の5歳時を演じるのが森優理斗だ。第1話の初登場時には、すぐ地面に這いつくばり、植物と目線を合わせていた牧野博士同様、縁の下に潜り込み、そこに芽吹いた双葉を見つめる万太郎の姿が。「昨日まで開いちょらんかったよね? 葉っぱ、ちんまいのお」と土佐弁で話しかけるその愛らしさに一瞬で心を奪われた人も多いだろう。SNSでは「どこかで見たことある気も……」という声も。森は2022年に放送された大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK総合)にも出演しており、当時よりも少し成長した姿が同作のファンを喜ばせた。
『鎌倉殿の13人』で森が演じたのは、主人公の北条義時(小栗旬)と、その最愛の人・八重(新垣結衣)の間に生まれた長男の金剛だ。義時が戦から戻るたびにお土産をねだる無邪気な姿もまた愛らしかったが、当時まだ8歳だった森の巧みな演技力が垣間見えたのは第21話、八重が孤児の鶴丸(佐藤遙灯)を迎えた時のこと。かつて失った子ども・千鶴丸(太田恵晴)を思い出しながら、優しく鶴丸に微笑みかける八重の後ろで金剛は寂しそうな表情を浮かべていた。