プロ野球開幕記念 『呪術廻戦』『涼宮ハルヒの憂鬱』など記憶に残るアニメの“野球回”
第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で日本が優勝し、3月30日/31日からはプロ野球ペナントレースが開幕した。野球熱がますます高まっている昨今、アニメでも熱く野球が描かれている作品は多い。今回はあえて野球アニメではなく、アニメの“野球回”について語りたい。
『呪術廻戦』第21話、野球回は“神アニメ”の証拠? 作品における日常の尊さ
現在『週刊少年ジャンプ』で連載中、芥見下々原作のアニメ『呪術廻戦』(MBS/TBS系)。3月5日に放送された第21話「呪術甲子園…
まずは『呪術廻戦』の第21話「呪術甲子園」。特級呪霊・花御の乱入によって中断された交流会の決着を野球でつけることになる。数日前に激しいバトルを繰り広げていた両雄ではあるが、東堂が顔面にデッドボールを食らいはしたものの、基本的には血が流れるような展開はなく普通にゲームが進む。試合自体は悠仁のホームランにより、2-0で東京校が勝利をおさめた。
この話で注目すべきは各キャラクターの紹介テロップである。プロ野球の放送では、現在の成績や出身校などが表示されるが、西宮は「野球歴2リットル」、加茂は「筆記体を練習中。自分の名前は書けるようになりました」など意味不明なものばかり。もはや大喜利と化しているテロップではあるが、個人的には真希の「許せないものは『粉っぽいプロテイン』」がお気に入り。
ちなみに、これまで野球するシーンが描かれたアニメをいくつも観てきたが、『呪術廻戦』はその中でもバッティングのフォロースルーがとても綺麗に描かれている印象だった。特に釘崎が振り抜いた後のバットの投げ方が美しい。制作陣の野球愛を感じざるを得なかった。
次は『涼宮ハルヒの憂鬱』の第7話「涼宮ハルヒの退屈」。そのタイトルの通り、ハルヒが退屈しのぎに地元の野球大会に参加することを、SOS団のメンバーに唐突に告げるところから物語が始まる。練習中の野球部からハルヒは例のごとく、強引に練習場所を奪って試合に備える。そして、試合当日、優勝候補と目される大学生チームと当たってしまい、当然寄せ集めのチームのために手も足も出ない。そもそも、まだ小学生のキョンの妹も試合に駆り出されている時点で勝機は大分薄い。
とはいえ、負けず嫌いなハルヒはフラストレーションを徐々に募らせ、その影響で閉鎖空間が拡大していることをキョンは小泉から聞かされる。草野球の試合をキッカケに世界滅亡の危機に直面する危機的状況のため、小泉は長門に協力を要請。長門は超能力を使い、普通の金属バットを『パワプロ』でいう“ロックオン”をさらに狂暴化させた、適当に振っても確実にホームランが出るような細工をする。そんなチートバットのおかげで打者一巡を超える連続ホームランを放ち圧勝した。
この話の一番の見どころは最終回にキョンがピッチャーとして登板した際に流れるBGM「野球は青春との接触」である。同曲は挿入歌であり今なお愛されている「God knows..」の作曲を担当した神前暁が手掛けたもの。『タッチ』のオープニングテーマを思い出させる、ユーモラスかつ中毒性の高いサウンドとなっており、“日常回”らしいゆるさを演出していた。