『舞いあがれ!』が教えてくれる誰の心にもある熾火 高杉真宙が最終幕に再登場した意義

『舞いあがれ!』高杉真宙が再登場した意義

 大人になった者なら誰もが経験する、忘れていた想いに気づく瞬間が刻まれていく。いや、大人に限らず、誰もが必ず心に火種を持っていて、火力を調節するのはその人の心持ちや環境によるとしても、きっと何があっても消えることはない。それさえ忘れずにいれば、生きていける。

 人類が被った2020年〜2023年の停滞期が最終週では描かれるのか。せっかく、ここまで開発された空飛ぶクルマはどうなるのか。貴司は歌人として復活するのかーー。

 誰もの心にある消えない炎の象徴は、祥子(高畑淳子)がふさわしい。手足が不自由になって自活できなくなり船を降り、五島から遠い東大阪で娘・めぐみ(永作博美)の家に身を寄せている。五島時代のように豪快にいられず、しゅんとおとなしくしているけれど、貴司の想いをそっと見つめていたのは彼女である。デラシネで本を読む喜びを知った祥子。本を読めば、誰かの人生に触れることができ、写真集を開けば、たちまち五島に舞い戻ることができる。祥子の炎も消えることはない。火力は小さくなったかもしれないが、人を包むようなじんわりとしたあたたかさがある。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』
2022年10月3日(月)から 2023年4月1日(土)まで
総合:8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:福原遥、横山裕、高橋克典、永作博美、赤楚衛二、山下美月、目黒蓮、長濱ねる、高杉真宙、山口智充、くわばたりえ、又吉直樹、吉谷彩子、鈴木浩介、高畑淳子ほか
作:桑原亮子、嶋田うれ葉、佃良太
音楽:富貴晴美
主題歌:back number 「アイラブユー」
制作統括:熊野律時、管原浩
プロデューサー:上杉忠嗣
演出:田中正、野田雄介、小谷高義、松木健祐ほか
主なロケ予定地:東大阪市、長崎県五島市、新上五島町ほか
写真提供=NHK

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる