三島有紀子監督初のドキュメンタリー映画『東京組曲2020』5月公開 松本まりかも参加
三島有紀子監督のドキュメンタリー映画『東京組曲2020』が、5月13日よりシアター・イメージフォーラムほかにて全国公開されることが決定した。
本作は、三島監督が2020年の4月22日に実際に体験したことを元に、20名の役者たちが各自撮影、その映像全体を三島監督が監修して一緒に作ったドキュメンタリー。NHK在籍当時はドキュメンタリー番組を手掛けていた三島が現在劇映画監督として活躍し続ける中、NHK退社後、初のドキュメンタリー映画となる。
全世界を揺るがしたパンデミック・コロナ。2020年1月、日本で最初の感染者、2月には死者が発表され、不穏な空気が流れ始めた。最初の段階ではまだ実感できていなかった人も多数いるなかで、4月7日に新型コロナウイルス対策の特別措置法(特措法)に基づく「緊急事態宣言」が初めて発令され、生活は一変。都道府県知事から飲食店やスポーツジム、映画館やライブハウスなど幅広い業種に休業要請があり、全国的かつ大規模なイベントは中止や延期などの対応が主催者に求められた。そのなかには、映画の舞台挨拶イベント、演劇公演、音楽コンサートなどもあり、エンタメ業界にとっても未だかつてない事態となった。
4月22日は、三島監督の誕生日。明け方、どこからか人の泣き声が聞こえてきたときに、「このコロナ禍で何を感じているのかが忘れ去られる前に、映像に残し、記録として確認しよう」と、本作の企画を思いついたと語る。本作は、3つのポイントをもとに撮影された。一つめは、役者たちの暮らしぶりや感じていることを三島監督が引き出す形で共に作ること。二つめは、役者たち本人もしくは同居人が撮影すること。情景カットなどは三島監督も撮影に参加した。三つめは、「明け方(朝4時)に女の泣き声がどこからか聞こえてくる」というシチュエーションをすべての出演者共通の出来事として描くこと。
女性の泣き声は事前に録音され、8分に及ぶその声を役者たちが実際にイヤホンで聞き、そのときの感情の動きやリアクションが記録された。日々の日記をつけようと決めた男性、舞台が延期となり自宅で過ごすなかで家事に追われる女性、楽しみにしていた出演作品の映画の舞台挨拶が中止になった女性、自宅で一人黙々と仕事をする女性など、20人の役者たちがコロナ禍第一波で過ごした日常がつぶさに切り取られた。
また本作の制作スタッフとして、ラストカットの撮影に今井孝博、音楽に田中拓人が参加。作品のキーとなる女性の泣き声は、松本まりかが担当した。
あわせて、タイトルデザインを担当したイラストレーターのオザワミカによるポスタービジュアルと特報映像、メインビジュアルも公開された。
三島有紀子監督 コメント
2020年4月の日本では、新型コロナウィルスの感染拡大防止のため緊急事態宣言が出され、ロックダウンの状態となりました。
気にも留めていなかった当たり前のことが、断層ごとずれていくような感覚に陥りました。ちょうど51歳の誕生日、居場所を求めてベランダに座り、ひと夜を明かしていると、明け方、どこからか、人間の泣き声=生の声が聴こえてきたのです。
その時、このコロナ禍で何を感じているのかが忘れ去られる前に、映像に残し記録として確認しようと考えました。それで、リモートで声をかけた役者のみなさんに、カメラをまわしてもらいました。集まってきた映像素材から垣間見えたのは、人間の弱さと人間が希求してやまないものは何かということでした。それは、私にとって「人間の再確認」という作業となったのです。それらをクラウドファンドに参加してくださったみなさまやたくさんのみなさまの応援のおかげで、映画というひとつの作品にすることができました。
あれから三年、今、わたしたちは人間らしく生きられていますか? この映画を観た帰り道、ふと考えてもらえたら幸いです。
■公開情報
『東京組曲2020』
5月13日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次ロードショー
出演: 荒野哲朗、池田良、大高洋子、長田真英、加茂美穂子 小西貴大、小松広季、佐々木史帆、清野りな、田川恵美子、長谷川葉月、畠山智行、平山りの、舟木幸、辺見和行、松本晃実、宮﨑優里、八代真央、山口改、吉岡そんれい
声の出演:松本まりか
監督:三島有紀子
音楽:田中拓人
撮影:今井孝博(JSC)、山口改
編集:加藤ひとみ、木谷瑞
調音:浦田和治
録音:前田一穂
音響効果:大塚智子
タイトルデザイン:オザワミカ
配給:オムロ
製作:テアトル・ド・ポッシュ
2023/日本/ドキュメンタリー/カラー/95分/アメリカン・ビスタ/5.1ch
©️「東京組曲2020」フィルム パートナーズ
公式サイト:alone-together.jp/
公式twitter:@aTogether2020