『舞いあがれ!』“陽”の場を守ったたくませいこ 松尾諭とは“わろてんか”な関係に?

『舞いあがれ!』でのたくませいこの役割

 残すところあと数週となった朝ドラ『舞いあがれ!』(NHK総合)では、ヒロイン・舞(福原遥)のごく身近な存在のみならず、その周辺の作品世界に彩りを与える人々にも、いま再び光が当たっている。舞や久留美(山下美月)がアルバイトをしていたカフェ「ノーサイド」の店主・津田道子(たくませいこ)もその一人だ。ここにきて彼女の注目度が急上昇しているのである。

 舞と元新聞記者である御園純(山口紗弥加)が手を組み、「IWAKURA」の子会社として立ち上がった「株式会社こんねくと」。東大阪の町工場の技術同士をマッチングさせる事業を展開しようと、二人はその難しさを痛感しながら試行錯誤を繰り返しているところだ。そんな彼女たちの奮闘の裏で、ひそかに進行しているサイドストーリーの数々。幼なじみである舞や貴司(赤楚衛二)が前進しているように、久留美もまた新しく大きな一歩を踏み出そうとしており、救命救急の現場での看護職を極めるべく長崎でドクターヘリに乗ろうと考えているらしい。

 ところが気がかりなのが、何かと世話のかかる父・佳晴(松尾諭)の存在。第110話では「ノーサイド」の店主である道子に不器用すぎるプロポーズをし、彼女の逆鱗に触れてしまったばかりである。ここで改めてスポットが当たったのが、“津田道子=たくませいこ”の存在というわけだ。先述しているように道子は、舞や久留美のかつてのバイト先の店主。いつも快活で威勢がよく、貴司の両親である梅津夫妻(山口智充&くわばたりえ)のように、彼女は作品に賑やかさを持ち込む役割を担ってきた。

『舞いあがれ!』“拾われた男”になれなかった松尾諭 信頼を得るためにトライし続ける姿勢

『舞いあがれ!』(NHK総合)第110話では、舞(福原遥)たちが開発したランプに大量受注のチャンスが舞い込んだ。  仙波(森下…

 実際に東大阪市出身のたくまが操る関西弁は切れ味が鋭く、彼女が登場するごとに(つまり「ノーサイド」の場面になるごとに)、本作には特別なリズムが生まれていた。「ノーサイド」では基本的に前向きなことしか起こらない。思えば舞たちの起業話が出たのも、ここでのこと。しばし羽を休め、新たな旅立ちへと向かうことのできる“陽”なスポットなのだ。シーンが「ノーサイド」に切り替わるたび、ふっと肩の力が抜けていた視聴者の方も少なくないのではないだろうか。舞たちが社会人になってからは登場が少なくなった印象だが、それでも「ノーサイド」は何かと物語が展開する場の一つとして存在し続け、道子は自身のキャラクターの主張よりも、あの空間の雰囲気づくりに徹してきた。その根っこの部分には、たくまの“動的”で明るいパフォーマンスがあったのである。

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