『舞いあがれ!』“拾われた男”になれなかった松尾諭 信頼を得るためにトライし続ける姿勢

『舞いあがれ!』信用は一日にして成らず

 『舞いあがれ!』(NHK総合)第110話では、舞(福原遥)たちが開発したランプに大量受注のチャンスが舞い込んだ。

 仙波(森下じんせい)がこんねくとにやってくる。仙波が連れてきた瀧本(小堀正博)は大手インテリアメーカーのバイヤーで、デザインパンチングを利用したランプを取り扱わせてほしいと頼む。願ってもない機会と思われたが、瀧本は1個1万円前後で売り出したいと言い出した。

 御園(山口紗弥加)によると利益を出せる価格は3万円以上なのだが、瀧本はパンチング加工以外は海外に生産を委託し、販売価格を引き下げるのだという。舞たちは全工程を東大阪の工場で行うつもりだったので、約束が違うということになる。仙波は舞たちに感謝しつつ「悪い話やない」と瀧本に同調。瀧本は仙波の技術を評価した上で、「たくさんの人に買ってもらうことで、この素晴らしい技術を広く知ってもらうことができる」と訴えた。

 会社を立ち上げ、自走を始めた舞が最初にぶつかった壁。舞たちは仙波の意向を尊重し、ランプを手放すことにした。舞は我妻(久保田磨希)に謝罪する。我妻は「あきれたお人よしやな」「それは、あんたらがやろうとしてたことと違うのとちゃうか。うちはあんたらの志に共感してたんや」と残念がった。

 第110話の舞は叱られてばかりだった。御園に「社長ならもっと自分の会社のこと考えて」と言われ、我妻にも「こんなことしてたら、何も変わらへんわ」と苦い顔をされる。舞は社長であり、携わったプロジェクトが当初と違う方向へ進んだことの責任を負う立場にある。我妻が怒ったのはもっともで、社長なら会社の利益を追求すべきという御園の言葉も正論だ。落ち込む舞にめぐみ(永作博美)がかけた言葉が胸にしみた。

「信用いうもんは、そない簡単に手に入るもんと違う。必死に頑張って実績作って、それを何年も積み重ねて、ようやっと手に入るもんや」

 めぐみがIWAKURAの社長になってからの苦労を思い出した。取引先から契約を打ち切られ、足元を見られて不当な条件を突きつけられたり、「素人社長」と陰口を叩かれもした。その度に毅然と、また柔軟に対応して今に至るのだが、めぐみの言葉には実感が込められていた。間近で見てきた舞は母に励まされて前向きさを取り戻した。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる